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2025.05.31 16:00

マッチングアプリ全盛時代、昔と何が変わった? 現代の「恋愛4段階モデル」を紐解く 

Shutterstock.com

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今日の生活は5年、10年、20年前のものとは全く異なる。世界は、当時想像もできなかったような変化を遂げている。当然、恋愛もこうした変化とは無縁ではない。

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しかし、デートそのものはそれほど進化していないのではないか。これは、2025年1月に専門誌『Personal Relationships(パーソナル・リレーションシップス)』に掲載された研究で、イリノイ大学ブライアン・オゴルスキー教授らのチームが探求した疑問だ。

出会い系アプリの台頭やソーシャルメディアの影響、そして結婚やコミットメント、セックスに対して変わり続ける社会の見方など、これらすべてを考慮するとその答えは「進化している」だと思うかもしれない。

調査によると、現代の恋愛関係がどのように展開する傾向にあるかを定義する4つの明確な段階があるという。そして驚くことに、その定義は思うほどに昔のものと異なってはいない。以下、4つの段階を説明する。

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1. カジュアルな関係

オゴルスキーらの研究チームは、10年の間隔をあけて大学生の恋愛観を調べた。2012年に学生126人、2022年には学生133人に「あなたが考える典型的な恋愛関係の段階を順番に説明してください」という自由回答の質問を投げた。

回答を比較した結果、両年で同じようなパターンが浮かび上がった。最初の段階はオゴルスキーらのチームが「カジュアルな関係」と呼ぶものであるとの意見で一致し、参加者らはほぼ同様の表現を用いていた。

ある学生は、恋人関係になるかもしれない2人が「恋愛関係の基礎となる共通の興味 」を探す段階だと表現した。別の学生は相手の外見にひかれたり、相手のことをもっと知りたいと感じたりすることだと要約した。

おそらく最も適切な描写は、ある学生の説明だろう。その説明とは「どちらかがあからさまに、あるいは意図的に興味を示している。お互いに好意を抱いていることは分かっているはずなのに、片方がカジュアルな関係に応じなければ、ここで終わってしまう」というものだ。

テクノロジーは、出会ったり交流したりする方法を大きく変えたにもかかわらず、第1段階の本質的なところは変わっていない。これは、関係を築くにあたってはまず相性を見極める必要があるからだろう。

私たちは、親しくなる前に相手を観察する。小さな合図に注意を払い、自分からも何回か合図を送る。このプロセスは目新しいものではなく、スワイプベースのインターフェースやアルゴリズムもこの行為を完全になくすことはできない。

アプリやデバイスを介したコミュニケーションは、確かにカジュアルな関係につながる新しいルートを生み出したが、不確実性や脆弱性が皆無になるわけではない。実際、調査に参加した両年の学生らは、カジュアルな関係はオンラインで展開されることが多いと指摘している。

何日もチャットし、ミームを交換し、期待を膨らませるかもしれないが、それでも互いにひかれ合っているのか、あるいは対面でも同じように付き合えるのか考える必要がある。自由に使えるツールが増えたとはいえ、追い求める価値があるかどうかを調べるのが人間というものだ。やり方は変わっても、心理は変わらないのだ。

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翻訳=溝口慈子

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