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2025.05.31 16:00

マッチングアプリ全盛時代、昔と何が変わった? 現代の「恋愛4段階モデル」を紐解く 

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2. 可能性のある関係

恋愛関係に向けた第2の段階を、研究チームは「可能性のある関係」と名付けた。その名が示すように、調査に参加した学生らはこの段階を、特に恋愛の相性という点で探求の段階と定義した。

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例えば、ある学生はこの段階の特徴を「一緒に過ごす/デートする」ことだとした。同様に、別の学生はこの段階を「お互いのことをもっと知るために会ったり、いろいろな場所に出かけたりする時期」と表現した。

全体的に、ある学生の説明が最もよく言い表していた。「少し真剣になると、もう少しロマンチックな雰囲気を求め、デートに出かけたくなる。数週間おきに1、2回デートして、その間にランチを数回一緒に食べるような感じ」

この段階で、「あなたのことが好きだと思う」から「あなたがどんな人なのか理解したい」に移行する。まだ曖昧さ、つまりうまくいかない可能性は残っているが、恋愛関係に移ろうとする動きがみられる。デートに行き、もっと踏み込んだ話をし、頭の中で相手を自分の人生の中に取り込むようになる。

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注目すべきは、偶然の出会いと手軽な満足感がかつてないほど手に入りやすくなっている時代であっても、人は相手の品定めをするこのゆっくりとした期間を真に求めているということだ。お互いを知ろうとする動きは自動化されておらず、よく書かれたプロフィールや厳選された写真だけに頼れない。

デジタルプラットフォームは接触を容易にするかもしれないが、積極的に親しみと信頼を築く経験に取って代わることはできない(そうなるべきでもない)。今日、私たちは他人と早くつながることができるかもしれないが、どれだけ相手に心を開くかについてはまだ慎重だ。この段階の慎重さは、いわば「理解したい」という人間の永続的な欲求を物語っている。

3. 交際中

10年前も現在も、ロマンチック度合いが高まる第3段階は相手を1人に絞ることだととらえられている。

学生たちが語るこの「交際中」の段階は、正式な関係であるという感じを含んでいる。ある学生は、この段階は「自分は交際中だと宣言する段階だ」と説明した。別の学生は、この段階で「他の誰かと睦まじくしたり、付き合ったりすることは浮気になる」と指摘した。

付き合っているという宣言そのものだけでなく、学生たちはこの段階を「愛してる」の言葉を交わしたり、お互いの友人や家族に会ったり、また心身ともに親密になるなど、恋愛における大きな節目ととらえていた。

恋愛関係をめぐる社会的規範がより柔軟になったとしても、この段階は一貫している。関係者全員の合意のもとに複数の人と恋愛関係になるポリアモリー、1人に絞らず複数の人と付き合うカジュアルデート、規範にとらわれずに関係を築くアナーキーは10年前よりも目につきやすくなり、広く議論されるようになった。だが、学生の大半は依然として相手を1人に絞る事を決定的な指標とみなしていた。

選択肢が広がったとはいえ、ほとんどの人が「この人と交際している」という明確で誤解の余地のない宣言に価値を置いているのは明らかだ。これはこの段階が安定性をもたらすからだろう。これは必ずしも恋愛の探求の終わりを意味するからではなく、むしろうまくいっているという感覚と期待感をもたらすからだ。この明瞭さこそが、今後さまざまなことが起こり得る中で関係を支える。

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翻訳=溝口慈子

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