労働者はより慎重になっている。MyPerfectResume(マイパーフェクトレジュメ)という職務経歴書作成プラットフォームで作成された3万3000件の志望動機書を分析したところ、昨年と比べて、求職者が新しい仕事を探し始める前に現職を離れる可能性は70%も低下していることがわかった。
退職を決断する前にオファーを得ておくメリットとしては、給与が途切れないため金銭的リスクが少ないこと、雇用されている状態から失業状態への移行がないため精神的負担が小さいこと、そして日常のリズムが変わらないため心身へのストレスが軽いことなどが挙げられる。
しかしながら、ときには新しい仕事が決まっていない状態で退職するほうが合理的な場合もある。もし新しい職が決まる前に辞めるべきかどうか迷っているなら、以下の5つのケースを検討する価値はある。
1. 職場環境があまりにも有害である場合
もしバーンアウト(燃え尽き症候群)や職場でのいじめなどが原因で健康を損なっているならば、自己防衛のために退職することが最善の策となり得る。まずは人事部や社内の従業員支援プログラムのホットライン、あるいはメンターに相談し、状況の改善を試みるのが望ましい。サバティカル(長期休暇)の取得や短期障害給付の対象になるかを確認し、職場に戻る道を残せるかを検討することもできる。また、有給休暇が十分に残っているなら、その期間を使って心身を回復させることも考えられる。もっとも、これらをすでに試しても状況がまったく改善されない場合は、健康を最優先にするため退職を選ぶのは十分に正当な理由となる。
2. 現職に留まることの機会損失が大きすぎる場合
仕事に就いているあいだは、他のどこかで別の活動をする機会を失っていることになる。これがいまの職にともなう機会損失だ。たとえば、現在働いている親が、もし専業(主婦、主夫)として子どもと過ごしたいと思っているなら、子どもがその年齢でいるのは今だけだ。あるいは旅行を望んでいるなら、行きたい場所は自然環境や気候変動、オーバーツーリズムの影響などで時間とともに姿を変えてしまう。もし強くやりたい別のことがあって、その実現には仕事からしばらく離れる必要があるならば、新しい仕事が見つかる前に退職することが、いま最適な選択肢となる可能性がある。



