こうした髙橋主導の営業改革に対して、当然、既存社員から反発の声も上がった。しかし、営業プロセスをステージに分け、言語化していくことで、「本質的には今までと変わらない」と理解が進んだという。「合意形成さえできれば、『すぐやる、必ずやる、できるまでやる』という当社の文化が根づいています。まずはトップダウンで推進しつつ、現場レベルでも課題を自分ごととしてとらえてもらえるよう、地道な対話を重ねました」(髙橋)
さらに、横軸で改革を浸透させるため、各事業部の営業責任者が集まる「レビュー会議」を毎月実施。これを統括するのがグローバル営業統括本部の藤本知也だ。新卒で入社して以来、営業畑を歩んできた藤本は「かつては数人のスーパーマンが売上を立てていたようなところがありましたが、業務プロセスの標準化と見える化により、確実に営業レベル全体がボトムアップしました」と振り返る。
経営企画部で全社の動きを俯瞰してきた小西圭輔は、プロジェクトの意義をこう語る。「全社横断の視点で課題を可視化することにより、他社に先んじて対策を講じることにつながっています。提案型営業の根幹は 『商品企画』。市場の“一番参入”の製品につなげるために開発部門と連携した取り組みも進めています」。
こうした取り組みは成果にも表れた。顧客が採用した案件のうち、引き合いではない提案営業を起点とした比率が22年の28.6%から23年には46%に。営業1人あたりの売り上げも1.4倍に伸び、売上高は1.6兆円から24年には2.6兆円へと増加した。
「かつてはカリスマ的リーダーのもと、個人の努力やハードワークによって成長を支えてきた時代もありました。そこから営業改革に着手し5年、属人的な営業スタイルから脱却し、組織的で提案型の営業が根づいてきました。これからは、成果を出せる“仕組み”によって、営業生産性を倍増させ、さらなる利益ある成長につなげていきます」
※本誌をご購入いただいた皆様へ
【お詫びと訂正】2025年7月号66頁の写真横の人物紹介に誤りがございました。
誤:藤本知也(左)/小西圭輔(右)
正:藤本知也(右)/小西圭輔(左)
ご本人ならびに関係者の皆様、読者の皆様にご迷惑をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます。
髙橋亨◎常務執行役員 最高業績管理責任者兼最高マーケティング責任者グローバル営業統括本部長(中央)
藤本知也◎グローバル営業統括本部 営業戦略部 営業企画グループ第2チームリーダー(右)
小西圭輔◎経営企画部 DX・プロセス変革グループリーダー(左)


