宇宙

2025.05.24 13:00

太陽系「第9惑星」候補か、台湾チームが日米の衛星画像から手がかり発見 今後の展望は?

太陽系外縁部に存在する可能性が示唆されている「第9惑星」の想像図。太陽の周囲に光の輪として海王星の軌道が描かれている(ESO/Tom Ruen/nagualdesign)

太陽系外縁部に存在する可能性が示唆されている「第9惑星」の想像図。太陽の周囲に光の輪として海王星の軌道が描かれている(ESO/Tom Ruen/nagualdesign)

太陽系の外縁部に存在する可能性が示唆されている未知の「第9惑星」を探している台湾の研究チームが、すでに運用を終了した日米の赤外線天文衛星のアーカイブ画像から、候補天体の手がかりを発見したと明らかにした。

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「第9惑星」は「惑星X」とも呼ばれる仮説上の存在で、観測的証拠はまだ見つかっていない。それでも天文学者たちは、遠からずその存在を発見するか、あるいは存在の可能性を除外することができると確信を深めている。

「第9惑星」を探せ

太陽系には現在、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つの惑星が存在する。かつて9番目の惑星とされていた冥王星が2006年に準惑星に格下げされて以来、この数は変わっていない。

海王星の軌道の外側には、冥王星などの準惑星や小天体が分布するカイパーベルト(エッジワース・カイパーベルト)と呼ばれる領域がある。短周期彗星の起源があるともいわれる場所だ。天文学者たちはこの領域に、海王星よりも20倍遠い軌道を公転する「第9惑星」が存在するかもしれないと考えており、その質量は地球より大きく、海王星より小さいと推定している。

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もし未知の惑星が実在するならば、今後18カ月以内に発見できる可能性がある。

「第9惑星」の仮説とは

カイパーベルトには多数の小天体が密集して分布している。セドナ、2012 VP113、2004 VN112、2010 GB174、2013 RF98、2007 TG422の6つの太陽系外縁天体は、公転軌道がいずれも非常に細長く、紛らわしいほど似通った方向に楕円を描いている。これは、未知の惑星の重力の影響を受けているためだと考えられる。

海王星より遠くを公転する6つの太陽系外縁天体の楕円軌道の向きの不自然な偏りと、予想される「第9惑星」の公転軌道を示した図(PL-Caltech/R. Hurt)
海王星より遠くを公転する6つの太陽系外縁天体の楕円軌道の向きの不自然な偏りと、予想される「第9惑星」の公転軌道を示した図(PL-Caltech/R. Hurt)

しかし、この仮説上の惑星の軌道は海王星のはるか彼方にあり、太陽光をほとんど反射しない。そのため、仮に実在したとしても通常の観測方法でそれを確認するのは難しい。また、公転速度が非常にゆっくりなことから、軌道の特定も困難だ。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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