宇宙

2025.05.24 13:00

太陽系「第9惑星」候補か、台湾チームが日米の衛星画像から手がかり発見 今後の展望は?

太陽系外縁部に存在する可能性が示唆されている「第9惑星」の想像図。太陽の周囲に光の輪として海王星の軌道が描かれている(ESO/Tom Ruen/nagualdesign)

ルービン天文台の稼働に期待

ブラウンらの研究チームは、米パロマー天文台にあるツビッキー突発天体観測施設(ZTF)とハワイの全天観測プロジェクト「パンスターズ(Pan-STARRS)」を通じて得られた画像を解析して「第9惑星」を探しているが、今のところ成功していない。

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しかし、現在稼働試験中でまもなく運用が始まるチリのベラ・C・ルービン天文台ならば、「第9惑星」が実在すれば発見できる可能性が高い。この天文台に備わる大型シノプティック・サーベイ望遠鏡(LSST)は世界最大のデジタルカメラで、39秒ごとに高解像度画像を撮影し、10年間かけて宇宙のタイムラプス映像を作成する計画だ。もし「第9惑星」が太陽系外縁部に潜んでいるなら、ルービン天文台によって発見できるはずだ。

チリ・セロパチョン山上に建つベラ・C・ルービン天文台と黄道光。同天文台は2025年中に科学運用を開始する(RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA/H. Stockebrand)
チリ・セロパチョン山上に建つベラ・C・ルービン天文台と黄道光。同天文台は2025年中に科学運用を開始する(RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA/H. Stockebrand)

「たとえ10億ドルを手渡され、『第9惑星』を見つけるための望遠鏡の設立資金にするよう言われたとしても、私は受け取らないだろう。なぜなら、ベラ・ルービン天文台は間違いなく完璧だからだ」とブラウンは語っている。「この天文台は、夜な夜な空の写真を撮り続ける。私たちはただ、ゆっくりと空を横切っていく薄暗い天体を探せばいい」

もし「第9惑星」の明るさが推定値の中程度より明るければ、ベラ・ルービン天文台が科学運用を開始して1年半かそこらできっと発見できるだろう。それまで、この未知の惑星は天文学における最大の謎のひとつであり続ける。

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forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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