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2025.06.01 15:00

「母の魂が宿る文字が支え」ドムドム社長、復活の裏側:藤﨑 忍(ドムドムフードサービス代表取締役社長)

THE GIFT #24

THE GIFT #24

贈り、贈られたモノや体験は、人生を変えるほどの力を持つことがある。企業のトップ、リーダーたちが経験した、モノや体験に介在する特別な思い入れを紹介する。自身の生き方、サクセスストーリーにも影響を及ぼしたであろう「GIFT」の逸話には人間味あふれる姿がある。希薄化も言われる現代の人間関係とは異なる、特別な関係だ。

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THE GIFT #24

藤崎 忍

ドムドムフードサービス 代表取締役社長

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「そらき」とはどこまでも続く空とちっぽけな自分を感じ、大地に根を張る木の力強さを表しているという。

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ドムドムハンバーガーの代表に就き7年目。 私は、支えてくれる多くの方々の存在に恵まれている。なかでも、母は私の人生に大きな影響を与えた。専業主婦だった私は、夫の看病を機に39歳で人生初の就職をした。子どもを抱えながら家計を支える日々。その環境は長くは続かず、起業を決意。料理が得意だった私は「そらき」を開店した。

この一世一代の挑戦を、母は心から応援し支え続けてくれた。母とともに足跡を残したい。そう考え、文字の美しい母に屋号を揮き毫ごうしてもらった。開店の日。真新しい店の玄関口に飾られたタペストリーをふたりで眺めながら、私は伝えた。「お母さんの肉体がもしこの世から消えるときが来ても、この文字は私を見守り、魂は残り続けると思う」と。そのときの母の優しいほほ笑みは、今も深く心に刻まれている。 その母は、昨年に他界。振り返れば、険しい道のり、社長という未知の世界でも歩みを進められたのは、母をはじめ周囲の方々の応援があったからこそ。今も「そらき」の店に飾られているこのタペストリーには、その歴史と、母の思いが宿り、私を応援してくれている。


ふじさき・しのぶ ◎ 1966年生まれ。専業主婦だった39歳のときに初就職し、渋谷109のアパレルショップ店長を経て新橋で居酒屋を経営後、2017年にドムドムフードサービスに入社。18年に同社の代表取締役社長に就任し、再建を果たす。オリジナルバーガーはその登場のたびに人気を博す。

文=伊藤美玲 イラスト=東海林巨樹

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