キャリア・教育

2025.05.31 15:00

チャレンジできる社内風土を|喜㔟陽一×小山薫堂スペシャル対談(前編)

鉄道業ならではの街づくりを世界へ

小山:2024年に社長に就任されたとき 変えようと思ったことはありますか。

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喜㔟:就任直後にグループ全体に伝えたことは3つあります。第一に、私はちょうど国鉄採用世代の大半が定年で第一線を去った年に社長になったわけですが、これから本当の意味で民間会社としての真価が問われていくということ。第二に、ポストコロナ時代に入り、経営のモードを守りから本格攻勢に転じるということ。第三は、「鉄道を中心にしたモビリティ」と「お客さまや地域の皆さまの生活と幅広い接点を持つ生活ソリューション」という二軸の経営構造をしっかりと立てていくということです。

小山:なるほど。二軸のなかで喜㔟さんが最も将来性を感じているのは何ですか。 

喜㔟:鉄道もグループの1軸としてしっかり成長させていかなければなりませんが、成長エンジンにしようと考えているのは街づくりなどの不動産ビジネスと、Suicaを「移動と決済のデバイス」から「生活のデバイス」に進化させる「Suica Renaissance」です。鉄道会社というボーダーを超えたイノベーションを東京だけでなく、地方で、そして世界でも展開しようと考えています。 

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小山:地方でもすでに始まっていますか。

喜㔟:例えば青森では、地元の城ヶ倉観光さん、医療系社団法人の慈恵会さんと協業し、宿泊しながらヨガや温泉、食事やクリニックなどを組み合わせたウェルネス体験のできる「ReLabo Medical Spa & Stay」を駅ビル内につくりました。軽井沢では駅近くに水素ステーションを設置し、地域の皆さんとモビリティだけでなく生活における水素活用の可能性にチャレンジします。 

小山:すごい。やりたいことが実現できる社内風土に未来を感じられますね。

今月の一皿

食堂車の時代から80余年の歴史を継承した「伝統のスペシャルハヤシライス」。マスカルポーネを混ぜた生クリーム添え。

blank

都内某所、50人限定の会員制ビストロ「blank」。筆者にとっては「緩いジェントルマンズクラブ」のような、気が置けない仲間と集まる秘密基地。


喜㔟陽一◎1964年、千葉県生まれ。東京大学法学部を卒業後、東日本旅客鉄道に入社。人事部長、経営企画部長、常務、副社長を経て、2024年、代表取締役社長に就任。趣味は読書、街歩き、落語、ピアノ。座右の銘は「疾風に勁草を知る」。

小山薫堂◎1964年、熊本県生まれ。京都芸術大学副学長。放送作家・脚本家として『世界遺産』『料理の鉄人』『おくりびと』などを手がける。熊本県や京都市など地方創生の企画にも携わり、2025年大阪・関西万博ではテーマ事業プロデューサーを務める。

写真=金 洋秀

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