食&酒

2025.05.23 14:15

高田馬場のガチ中華は中国人留学生の学食か 人気の店を紹介

高田馬場の四川料理店「小米椒 江湖酒舍」のランチタイムは中国人留学生であふれている

高田馬場の四川料理店「小米椒 江湖酒舍」のランチタイムは中国人留学生であふれている

大人のための首都圏散策マガジン「散歩の達人」2025年6月号には、メインの「東京駅・日本橋」特集とともに「最注目の‶ガチ中華″タウン 高田馬場」という小特集がある。実は、筆者は一部この企画に関わった。

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声をかけてくれたのは、『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』(集英社新書)という実に興味深い本の著者で、筆者とある意味で関心領域が丸被りしているルポライターの室橋裕和さんだ。

「散歩の達人」の高田馬場の小特集に関して、版元である交通新聞社のウエブ告知には、以下のような企画趣旨が語られている。

<街を行き交う中国人留学生に人気の店とは!? 「漢字なのに読めない看板」が、いつの間にやら乱立し、シン・中華街の様相を呈するようになった高田馬場。この街をつくり上げる原動力となった若い留学生たちのおすすめ店を紹介しつつ、その生活ぶりや気持ちも聞いた。
・ガチ中華料理店4選
・高田馬場はいかにして〝ガチ中華″タウンになったのか?
・中国人留学生の高田馬場リアルライフ>

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このなかで、筆者が直接関わったのは、「高田馬場はいかにして〝ガチ中華″タウンになったのか?」という記事なのだが、この件をきっかけに久しぶりにこの街をじっくり歩く機会を得た。

そこで、今回の街歩きで知った「中国人留学生は高田馬場でどんなものを食べているのか」という話題について書いてみたい。

高田馬場でランチ1000円以上の店

筆者は、4年前の2021年7月にも「高田馬場にも続々。「ニューウェーブ中華」の店が集中するエリアとは?」という記事を本コラムで書いている。

2021年というのは、コロナ禍にもかかわらず、東京でガチ中華の出店が最も加速していた時期で、中国人オーナーたちも高田馬場に相次いで出店していたが、その理由については「留学生が多いことだ」と話していた。

そこで、今回の「散歩の達人」の企画を担当した室橋さんに最新の情報を提供するために、知り合いの中国人留学生たちに「高田馬場のおすすめ店」を聞いてみた。

彼らと知り合うようになったのは、ここ数年、日本の学生だけでなく、中国人留学生のなかにもガチ中華をテーマに論文を書きたいという人たちが現れ(「なぜ「ガチ中華」は日本に定着した? 学生ミーティングで語られたこと」)、筆者に直接問い合わせてきたり、東京ディープチャイナ研究会のイベントに参加してくれたりするようになったからだ。

彼らの目から見ても、自分の留学先の国でこれほど多くの同胞が飲食店を営んでいるという状況は想像もつかなかったことのようで、これはどういうことなのか、研究対象として考えたくなるのだろう。北京や上海といった大都市出身でもない限り、自分の住んでいた町では食べたことのなかった中国各地の地方料理が留学先で味わえるということは、彼らにとっても驚きなのである。

今回、4人の中国人留学生が教えてくれた店を挙げるだけでも面白いのだが(20軒近くあった)、そのうち筆者が訪ねた店を選んで紹介しよう。

広東省出身で都内の大学院で学ぶJさんが教えてくれたのが「小食堂」という店だ。彼女によると「家庭的な優しい味で、留学生向けに1人用の定食スタイルであることが人気の理由」だそう。店内もいかにもいまの中国の若者世代が好むような内装である。

「小食堂」という名のガチ中華定食専門の店。JR高田馬場駅に近い路地裏にひっそりと店を構えている
「小食堂」という名のガチ中華定食専門の店。JR高田馬場駅に近い路地裏にひっそりと店を構えている
ネコのイラストや中国語のジョークが書かれた貼紙のある「小食堂」の内装は、中国ではふつうに見かけるものだ
ネコのイラストや中国語のジョークが書かれた貼紙のある「小食堂」の内装は、中国ではふつうに見かけるものだ
「小食堂」では、いちおう日本語メニューも用意されている
「小食堂」では、いちおう日本語メニューも用意されている

この店では昼の定食メニューがいくつかの料理から選べる。豚の角煮(紅焼肉)や台湾のご当地グルメのルーロー飯、豚バラ肉を広東の梅菜という漬物と一緒に煮る梅菜扣肉といったラインナップだ。

豚の角煮がゴロゴロ入っている「小食堂」の紅焼肉定食。なぜかタマゴの白身だけを焼いたような小鉢が付いている
豚の角煮がゴロゴロ入っている「小食堂」の紅焼肉定食。なぜかタマゴの白身だけを焼いたような小鉢が付いている
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文・写真=中村正人

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