相変わらずガチ中華の入れ替わりは激しい
先日も、筆者はおすすめ店を紹介してくれた留学生2人と高田馬場を訪ねた。彼らにいろいろ教えてもらったので、お礼も兼ねて食事をしながらおしゃべりしたかったからだ。
あまりにもおすすめ店の候補が多いので、どこに行こうか迷ったが、もともと高田馬場のガチ中華のはしりの店といわれ、2018年にオープンしたものの、昨年になって一時は閉店していた福建省三明市沙県発のフランチャイズ店「沙県小吃」にした。
実は、別のオーナーが最近、新しく店を始めていたので、出かけてみることにしたのだ。この店は中国全土に6万5000店もあると言われており、留学生もよく知っていると思ったからだ。
この店は値段も手ごろで、日本人にも口に合う福建のファストフード(小吃)を出す。注文はもちろんQRコード。これは便利のようで、ガチ中華をよく知らない多くの日本人にとってハードルを高めている理由の1つだと筆者は常々思っている。
人手不足のこの時代、しかも高田馬場では筆者のようなことも言っていられないのだろう。余談だが、この店で配膳をしていたのは、中国人ではなく、ベトナム人だった。ガチ中華界もいまや人手不足の時代なのである。
この店で面白かったのは、すべてのテーブルが1人用に分かれていたことだ。言うまでもなく、1人利用が基本の店なのだ。まさに学食的な存在なのだろう。
QRコードでドリンクメニューをみると、アルコールは瓶ビールだけ。本当に中国の若い人はお酒を飲まないようだ。これは高田馬場のガチ中華オーナーが抱える共通の悩みかもしれない。
今回、久しぶりに高田馬場でガチ中華ウォッチングをして感じたのは、相変わらず店の入れ替わりが激しく、長く人気があって定着する店とオープンしてもすぐ閉店する2つに分かれることだ。
高田馬場には、四川火鍋や最近、何かと話題のマーラータン、蘭州拉麺、中国系ファストフードなどのおなじみのガチ中華がほぼ出店していた。
これらの店は料理写真を店頭にやたらと貼り並べていることがふつうだが(それでも一般の日本人にはその料理がどんなものかわからず、伝わっていないことが多い)、そうした風情はみじんもなく、店構えだけでは何の料理なのかよくわからない個人店がいくつかあったのも発見だった。こういうタイプの店は中国人客しかほぼ来ないし、そういう経営方針なのだろう。
一般の日本人より豊かな中国人の移住が増える「潤日」という状況に、多くの人が胸騒ぎをおぼえてしまうのは無理もない。彼ら中国人富裕層の存在感がわれわれの社会にどのようなインパクトを与えるのかという観点から今日の時代を捉えることの必要性も言うまでもない。
しかし、もう少し身近なところにいる、若くて経済的に恵まれた彼らがどんな留学生活を送っているのか、理解することもあっていいと思う。高田馬場はいま、そんな彼らの姿がごく日常的に見られる世界だからだ。


