宇宙

2025.05.22 18:30

宇宙の終焉は予想以上に早く訪れ、人間は宇宙より長生きする? 最新研究結果

米イエローストーン国立公園の夜空(Shutterstock.com)

米イエローストーン国立公園の夜空(Shutterstock.com)

138億年前に誕生したとされる宇宙は、星々が燃え尽き、あらゆる物質とエネルギーが散逸するときに終焉を迎える。そこに残るのは、冷たく暗い虚空だ。この状態を「熱的死」と呼ぶ。

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ブラックホールの専門家、量子物理学者、数学者からなる研究チームは、その日を「10の1100乗年後」と予測していた。これは、1の後ろにゼロが1100個並ぶという年数で、少々わかりにくい。だが、最新の研究で、その年数が大幅に削減された。

彼らが正しければ、宇宙はこれまで考えられていたよりもはるかに早く終わりを迎えることになるかもしれない。ただし、新しい予測もまた「10の78乗年後」という、1の後ろにゼロが78個並んだなかなか理解しにくい数字だ。

宇宙が予想より早く滅びるのはなぜか

宇宙の終焉が早まった理由を簡単に説明すると、恒星がエネルギーを使い果たした後に残る中心核の残骸で、高密度かつ高温の白色矮星が、約10の78乗年で蒸発する可能性があるためだ。これは物理学者スティーブン・ホーキング博士が1975年に提唱した、ブラックホールも蒸発するという理論「ホーキング放射」を考慮に入れた結果だという。

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オランダ・ナイメーヘンにあるラドバウド大学のブラックホール研究者ハイノ・ファルケ、量子物理学者マイケル・ウォンドラック、数学者ワルター・ファン・スイレコムは、この理論を他の天体に応用した。彼らの最新の論文によると、大質量星が超新星爆発を起こした後に残る高密度の天体である中性子星と、大質量星が崩壊してできる恒星ブラックホールは、蒸発するまでに10の67乗年かかる。

また、月と人間は、10の90乗年後に蒸発するとの予測が導き出された。

「宇宙の究極の終焉は、予想よりもずっと早くやってくる。だが幸いなことに、それでも非常に長い時間がかかる」とファルケは大学の発表文で述べている。

宇宙の「熱的死」とは

宇宙は暗黒エネルギーと呼ばれる謎の力によって、加速度的に膨張している。「はるか遠い未来、この加速膨張によって宇宙は空っぽになり、本質的には何も残らないだろう」と、『The End of Everything(邦題:宇宙の終わりに何が起こるのか)』の著者ケイティ・マック博士は先月、米誌ナショナルジオグラフィックへの寄稿につづった。

「星々は燃え尽き、物質は崩壊し、ブラックホールは蒸発し、最終的にはあらゆる創造物の廃熱を拡散させるわずかな光の粒子が残るだけになる」

次ページ > 宇宙の終焉、5つの仮説と「第6のシナリオ」

翻訳・編集=荻原藤緒

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