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2025.05.23 16:15

「ミッション:インポッシブル」最新作 シリーズ最後の作品となるのか?

トム・クルーズの身体を張ったアクションが展開される「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」©2025 PARAMOUNT PICTURES.

クリストファー・マッカリーの偉大な役割

実は「ミッション:インポッシブル」シリーズは、トム・クルーズの壮絶なアクションが見どころの作品として語られがちだが、ストーリーもひと筋縄ではいかない興味深いものとなっている。第1作目ではその観点からか、トムはミステリー作品の匠であるブライアン・デ・パルマを監督に指名している。

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その後、ジョン・ウー、J・J・エイブラムスと、どちらかというとアクション色の強い監督が起用されていたが、転機となったのは第4作目の「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」だった。

第5作目以降から連続して続けて監督を務めることになるクリストファー・マッカリーがこの作品の脚本づくりに参加すると、シリーズは再度ストーリーが強化されていく。劇場で観ても一度ですべてを理解するのは難しいくらいの、かなり錯綜とした物語が展開されていくのだ。

盟友のクリストファー・マッカリー監督とトム・クルーズ©2025 PARAMOUNT PICTURES.
盟友のクリストファー・マッカリー監督(右)とトム・クルーズ©2025 PARAMOUNT PICTURES.

マッカリーは、観客を鮮やかに裏切るサスペンス映画「ユージュアル・サスペクツ」でアカデミー賞脚本賞を受賞した人物であり、その意表をつく練りに練られたストーリーは、彼が監督することになった第5作目の「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション(2015年)」以降から顕著となる。

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トム自身も、最新作「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」について語る際、マッカリーがこのシリーズで果たしてきた役割について、次のように言及している。

「この新作で、僕たちは偉大なことを成し遂げました。これはすべてを集約したものです。これまで4作品を監督してきたマッカリーと僕は、このシリーズを製作するなかで、ストーリーを語ることについて多くを学んできました。最新作はエレガントで奥深い、素晴らしい物語です。このシリーズで過去に積み重ねてきたことがあってこそ、実現できたものです」

最新作「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」でも監督だけでなく脚本も担当したマッカリーは、この「ファイナル」には過去の作品に登場した人物を再登場させたり、謎のアイテム(マクガフィン)とされていたアイテムに重要な機能を割り振ったり、シリーズ全体の「伏線回収」を積極的に行なっている。

「PART ONE」となる前作は観るのに越したことはないが、今回の最新作はこれまでのシリーズを見逃してきた人たちにとっても十分に楽しめるストーリーとなっている。また全作品を観賞してきたファンにとってはさらに深くこの物語にコミットできるものとなっている。

その意味で、トムも自ら語るように、このシリーズにおいてマッカリーの果たしてきた役割は偉大なものであると言ってもいいかもしれない。

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文=稲垣伸寿

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