アマゾンは、既存の原子力発電所群を活用してデータセンター事業の拡大に必要な電力を確保する方法も模索している。24年3月、AWSはペンシルベニア州にある960MWのデータセンターをタレン・エナジーから6億5000万ドルで買収することに合意。この取引の一環として、AWSはタレンのサスケハナ原子力発電所から固定価格で電力を購入すると報じられている。サスケハナは米国で6番目の大きさを誇る原子力発電施設だ。
「AIによってエネルギー負荷が高まるのは間違いありません」
アマゾンの最高持続可能性責任者のカラ・ハーストは24年9月、ニューヨークで開催されたフォーブスのサステナビリティ・サミットでそう語った。
「アマゾンはすでにひとつ、原子力発電に関する合意を締結していますし、今後もカーボンフリーを解決策の要素として考慮していきます」(ハースト)
アマゾンやその他のテック企業は旧来の原子力発電所を活用した電力の確保を検討しているが、新しいSMR技術には柔軟性がある。
「SMRプロジェクトは、一回限りのものとは考えていません。SMRは、必要に応じて世界中のどのような場所にも建設できるのですから」(ガーマン)
アマゾン ウェブ サービス◎アマゾンが提供するクラウドコンピューティングサービス。世界中の企業やスタートアップ、個人など、あらゆる顧客に対して、コンピューティング、ストレージ、データベースをはじめ、機械学習、AI、分析ど、さまざまなサービスを提供している。データセンター拡大で必要となる電力を補うため、米国各地で小型の原子炉SMRの建設を計画している。
マット・ガーマン◎2024年6月、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のCEOに就任。AWSにとって3人目のCEO。05年夏にアマゾンでのMBAインターンを体験し、06年にAWSプロダクトマネジャーとして入社。クラウドサービスやAWSのストレージサービスなどにかかわり、20年からはセールス、マーケティング、グローバルサービスのバイスプレジデントを務めていた。


