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2025.05.23 08:00

優れたAIプロンプトエンジニアが支持する、「チェーン・オブ・ドラフト」を学ぶ

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この記事では、プロンプトエンジニアリングのベストプラクティスが絶えず拡張され続ける中で、新たに加わった強力なプロンプト技術のCoD(チェーン・オブ・ドラフト、Chain-of-Draft)を紹介する。

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読者の中には、以前に80を超えるプロンプトエンジニアリング技法や手法を詳細に描写した私の投稿を覚えている人もいるかもしれない(リンクはこちら)。優れたプロンプトエンジニアは、研究と実践によって裏付けられた多種多様なプロンプト技術を身に付けることこそが、生成AIの能力を最大限に引き出す最善の方法だと認識している。

新たに考案されたCoDは、古典的なCoT(チェーン・オブ・ソート、Chain-of-Thought)を活用しつつ改良を加えたものである。CoDの利点は以下の点などが挙げられる。

(1)従来のCoTより高速に動作しやすい

(2)回答内容がより凝縮されやすい

(3)トークンや処理サイクルの消費を抑えられるためコストが低減しやすい

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一方で、回答が比較的簡潔になるため、AIからより大量で詳細な応答を求めない場合に主に用いるべきだという側面がある。

CoDは、すべてのプロンプトエンジニアがスキルセットとして身に付けておくべきものだ。では、その内容を見ていこう。

CoDを掘り下げるために、CoTの基本を知る

CoDを掘り下げる前に、まずCoTの手法を押さえておくことが重要だ。これによって、CoDの新たな特徴を理解するための下地が整う。

最も便利なプロンプト技法のひとつは、生成AIにCoT的な段階的思考(ステップ・バイ・ステップ)を行わせるよう指示することである。たとえば、「一歩ずつ考えて答えてください」と伝えると、AIは回答に至るための論理ステップを順番に示す。どのようなプロンプトでも「一歩ずつ進め」と明示すれば、AIはすぐにCoTモードへ切り替わる。

実際、多くの研究で、CoTを使用したほうが生成AIの回答品質が高まりやすいことが示されている。これは、AIが各ステップを明確化しながら、より慎重かつ深い思考プロセスを踏むようになるためだ。ほとんどのAI開発企業は正確性や正しさよりも、速度を優先しがちであり、AIが短時間で回答するよう調整されている。しかし、CoTを行うよう明示的に支持するプロンプトを与えることで、AIは系統的に問いに答えようと試みるようになる。

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翻訳=酒匂寛

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