CoDを実践する
では、新しいCoDと従来のCoTの違いを、具体的な例で見てみる。
私は現在、4人のチームで新しい金融アプリを開発するプロジェクトを計画中だ。このプロジェクトを完了させるには約3カ月かかると見積もっている。そこで、合理的なプロジェクト計画を簡潔に提示してもらうよう、生成AIに依頼してみた。
まずは、何も制限しない通常のチェーン・オブ・ソート(CoT)プロンプトを与えてみる。
従来型CoTのプロンプト:
「4人のチームが必要で3カ月かかる新しい金融アプリの立ち上げ計画を段階的に考えなさい。立案された計画を示してください」
AIの回答:
「まず、アプリのコア機能を定義する必要がある。これは作業の範囲を定め、責任を割り当てるのに役立つ。次に、3カ月を3つのフェーズに慎重に分けることで、大まかなタイムラインを設定すべきである:(1)設計、(2)開発、(3)テストと立ち上げ。4人のメンバーがいるので、各人が行う作業のタイプに応じて責任を分担する必要がある。一人はフロントエンド開発、もう一人はバックエンド開発、一人はUI/UXインターフェース、そして一人はアプリのマーケティングを担当する。最初の月は全体的な設計とプロトタイピングに集中すべきである。2カ月目は最小限の実用的製品(MVP)の構築。3カ月目はテスト、バグ修正、そしてマーケティングプッシュの開始。週次スプリントと日次スタンドアップが調整とスケジュール管理に役立つ。」
(訳注:日本語環境でChatGPT-4.1、2025/05/19版を利用した場合には、この4倍以上ある回答が返されてきた)。
この回答は、十分に言葉を尽くした計画案が得られる反面、不要な装飾や説明が多く含まれている。私は多くのアプリ開発経験があるため、要点さえ分かれば十分だった。また、この回答は英語で約120トークンを消費し、トークン課金制の環境ではコストがかさんでしまう。
そこで、AIとの新しい会話を開始し、すべてが新規に始まるようにして、再び質問をしたが、今回はCoDを使用して境界条件を提供した。
CoD基本形のプロンプト:
「4人のチームが必要で3カ月かかる新しい金融アプリの立ち上げ計画を段階的に考えなさい。各思考ステップについては最小限のドラフトのみを保持すること。立案された計画を示してください。」
AIの回答(要約):
「アプリのコア機能を決める。3カ月を設計・開発・テスト/リリースに分割。4人の役割はフロントエンド、バックエンド、UI/UX、マーケティング。1カ月目にモックアップやアーキテクチャ、2カ月目に開発、3カ月目にQAとリリース準備。週単位のスプリントを行う。」
こうして立案された計画のレイアウトは気に入っている。この状況では回答がはるかに簡潔であり、AIが何について話しているのかを瞬時に理解できた。重要なことは、これにどれだけの処理が必要だったかを確認したところ、わずか英語で35トークンだった。これはCoTの消費量と比較して約4分の1であり、コストもほぼ同じ割合で削減されている。


