何においてもランキングとは得てして主観的なものだが、それがパスポート(旅券)に関するものである場合、1つの情報源だけに完全に頼ることは避けたい。移住コンサルティングを手がけるノマドキャピタリストは、世界中の投資家や起業家の視点から5つの要素に基づき、世界199カ国を対象に「ノマドパスポート指数(NPI)」を毎年算出している。
どのようにして「世界で最も強力なパスポート」を格付けするのか
ノマドキャピタリストによる世界最強のパスポートランキングは、今年で9回目になる。同社がランキングに考慮する5つの要素では、約20の情報源から集約されたデータを使用し、重要度に違いを持たせている。
・外国渡航のしやすさ:50%
世界199カ国の政府情報のほか、リアルタイムの情報と独自の調査による評価。この要素は、ビザ(査証)なしで渡航できる国の数のほか、到着ビザや電子ビザ(3日以内に発行されるかどうか)に重点を置いた、外国渡航のしやすさを評価している。
・国民への課税:20%
ノマドキャピタリストの税務専門家や報道、税務当局の情報に基づく。米国など居住地に関係なく国民に課税する国に最低点の10点を割り当て、フィンランドなど課税逃れのために国民の移住を認める国に20~30点を、パナマなど国民の外国所得に課税しない国に40点を、バヌアツなど課税ゼロの国に50点を与えた。
・国際社会での認識:10%
英オックスフォード大学らによる世界幸福度報告書や国連開発計画(UNDP)による人間開発指数(HDI)のほか、ノマドキャピタリストのネットワークによる主観的要素に基づき、各国の国民が国際社会でどのように認識されているかを判断する。
・二重国籍:10%
大使館の情報などを基に、中国など二重国籍の保持を厳しく禁止している国に10点、カナダなど自由に許可している国に50点を与える。
・個人の自由:10%
兵役義務や政府による監視、報道の自由などに関するデータや報道を基に、国民や外国人の個人の自由を判断し、最も自由がない場合を10点、最も自由がある場合を50点とした。
これらの要素のいくつかは明らかに解釈的なもので、データだけでなく経験にも基づいているが、この方法はビザなしで渡航できる国の数だけに焦点を当てた他社のランキングの域を超えているとノマドキャピタリストは強調する。「従来のランキングの大半や多くの人々は、パスポートを旅行特権の観点からしか考えていないが、当社は税金の徴収や自由な生活、各種規制、旅行中の監視の回避など、人々が国籍を持つ国によって、異なる事柄に直面していることを理解している。その点では、パスポート所持者がビザなしで渡航できる国の数だけではすべてを語ることはできない。当社のNPIは、変化する世界の中で個人の自由と経済的繁栄を求める人々に語りかけ、各国のパスポートの真の価値をより深く分析するものだ」