Wikipedia(ウィキペディア)を運営する非営利団体「ウィキメディア財団」は5月8日、英国の「オンライン安全法」が同サイトのボランティア編集者のプライバシーと安全を脅かす可能性があるとして、法的異議申し立てを行った。
英国ではインターネットにおける子どもの安全を保護することなどを目的としたオンライン安全法が2023年に成立し、同年から段階的に施行されているが、同財団は主にこの法律の適用対象のサービスの分類方法をめぐって異議を唱えている。
フェイスブックやX(旧ツイッター)、YouTubeなどの大手のSNSは、すでに最も厳格な義務を課される「カテゴリー1」に指定されているが、ウィキメディア財団は、Wikipediaがここに分類された場合に、ユーザーの本人確認や有害コンテンツの迅速な削除、年齢確認などを強制されることを懸念している。
「もしもWikipediaがカテゴリー1に指定されれば、我々はユーザーの編集に介入せざるを得なくなり、オンラインの安全性をかえって損なう結果となる。このような措置は、ボランティア編集者のプライバシーと安全を損ない、サイトが荒らしの標的になるリスクを高めることになる」とウィキメディア財団の主任法務顧問のフィル・ブラッドリー=シュミーグは述べている。
「私たちは、Wikipediaのボランティア編集者を保護し、自由な知識へのアクセスとその信頼性を守るために立ち上がった」と同氏は主張している。
カテゴリー1に指定された場合、ウィキメディア財団はWikipediaユーザーの身元確認を行うか、あるいは確認を受けていないユーザーの編集をほかのユーザーが拒否できるようにする必要がある。同財団は、この仕組みが導入されれば、世界中のあらゆるボランティアが本人確認を受けない限り、荒らしや誤情報、悪質な投稿が放置されかねないと主張している。
さらに、ユーザーが個人情報の流出やストーキング、ハラスメント訴訟、あるいは権威主義的な国家による投獄といったリスクにさらされる可能性もあると同財団は述べている。



