「予定調和」の意味とは?
言葉の由来と基本的なニュアンス
「予定調和(よていちょうわ)」とは、物事があらかじめ決められた流れに従って進み、想定される結末がそのまま実現することを指します。社会一般の認識や通例、あるいは暗黙の了解によって結論が最初からわかっている状況とも言い換えられます。
文学や演劇の世界では、ストーリーの展開が予想通りにまとまる作品を「予定調和的」と評することがあります。また、ビジネスシーンや日常会話でも、会議や交渉の結果が最初からわかっているような状況で「予定調和だ」と使われるケースが少なくありません。
ポジティブに受け止められるケース
一見、予定通りに事が運ぶことは安心感を与えます。例えば、会社の定例ミーティングが想定どおりの進行で終わる、トラブルなくプロジェクトが進む、といった場面では「予定調和」の状況が歓迎されるでしょう。
スムーズに物事が進む=効率が良いという見方があるので、組織としての計画性や準備が整っていた証拠として評価されることもあります。ただし、それが常態化すると、別の側面が問題視されるケースもあるため、次の章で詳しく解説します。
「予定調和」がマイナスに捉えられる理由
イノベーションを阻害する懸念
「予定調和」は、常に安定した流れや無難な結果を求める傾向を生み出します。たとえば、会議で参加者が事前に結論を決めておき、表面的にはあたかも議論が行われているかのように振る舞うケースがあります。こうした状況では、新しいアイデアや改革の意見が出にくくなり、イノベーションが停滞する懸念が高まります。
結果として、「変化を拒む企業体質」として外部に映りかねず、競争力を失うリスクも。特に競合他社が革新的な戦略を打ち出している中で、自社の「予定調和的な意思決定」が組織の成長を阻害する要因になる場合があるのです。
思考停止に陥る恐れ
あまりに「予定調和」を前提とした会議やプロジェクト進行が横行すると、メンバーの発言が形式化する恐れがあります。「どうせ最終的に○○になるなら、発言しても無駄」といった諦めや、「上の意向どおりになるのがわかっている」といった組織風土が根付いてしまうと、思考停止状態に陥るかもしれません。
こうなると、新しい人材が入ってきても、「とりあえず流れに合わせておけばよい」と学習し、建設的な意見が表に出にくくなります。結果として、組織全体がマンネリ化し、柔軟な思考や多様性を失うリスクが高まるでしょう。
ビジネスシーンにおける「予定調和」の使い方
会議や交渉での事前調整と注意点
ビジネスの場面では、事前調整自体は決して悪い行為ではありません。むしろ、重要な商談や社内プロジェクトの会議で議論がスムーズに進むよう、あらかじめ意見を擦り合わせておくことは効率的と言えます。
しかし、その事前調整が行き過ぎると、本来の議論の場で新鮮な意見が出なくなり、「予定調和の結論」に終わる傾向が強まります。「皆が納得感を得ている」というメリットがある反面、真に問題解決策が発見されないまま、形式上の合意だけが成立してしまうリスクを忘れてはいけません。
プロジェクト管理の側面から
プロジェクトでは、スケジュールや目標の明確化が求められるため、ある程度「予定通りに事が運ぶ」ことは理想です。けれども、「予定調和的な進行」と「柔軟性のない進行」は別物として捉えましょう。
プロジェクトに想定外のトラブルはつきものです。こうしたときに、あらかじめ決められたシナリオに固執するあまり、適切な修正やリスク対応を後回しにしてしまうと、結果として大きな失敗につながる可能性があります。「予定調和」で終わらせることよりも、状況に応じた軌道修正ができるかが重要です。
「予定調和」を使った例文
ポジティブな文脈での例
- 「緻密な打ち合わせのおかげで、会議当日は予定調和の中で議案が承認されました。」
- 「取引先との折衝はスムーズに進み、ほぼ予定調和どおりの契約内容で合意できました。」
これらの例文では、物事が滞りなく進んだり、事前準備が功を奏したりしたときに「予定調和」という言葉を使っています。組織やチームとしての計画力を示す場合には好意的に捉えられます。
ネガティブな文脈での例
- 「会議で激論が交わされるかと思いきや、結局は最初から決まっていた予定調和の結論でした。」
- 「新たな提案をしても、どうせ予定調和で終わるのだからと社員が意欲を失っています。」
ここでは、既成の結論に固執して新しい意見が反映されない場面などで「予定調和」がマイナスに作用している状況を示しています。組織風土として硬直化している場合に用いられることも多いでしょう。
類義語・言い換え表現
「既定路線」「想定内」
「既定路線」とは、「あらかじめ決められた方針」や「既に方向性が定まっている計画」を指します。プロジェクト進行や政策立案などで、事前に合意した方針どおりに進む場合に使われる表現です。「予定調和」と近い意味を持ちますが、より具体的に「プランが決まっている」というニュアンスが強いでしょう。
「想定内」も似た文脈で用いられ、「結果が予想の範囲内だった」という意味合いがあります。ただし、「予定調和」は人間関係の調整や、表向きの議論など、もう少し広範なシチュエーションで使えるのが特徴です。
「筋書き通り」「シナリオどおり」
「筋書き通り」「シナリオどおり」といった表現は、ドラマや演劇のメタファーを使って、あらかじめ決められていたストーリーラインから外れない様を指します。ビジネスでも、「会議での結論が筋書き通りになった」という形で使うことがあります。
類似表現としては、「出来レース」「茶番」なども挙げられますが、こちらはより否定的で批判的なニュアンスが強いため、使う場面には注意が必要です。
まとめ
「予定調和」とは、最初から結末が決まっている状況を指し、ビジネスシーンでもポジティブ・ネガティブの両面で使われる表現です。一方で、あまりに予定調和を求めすぎると、新しいアイデアやイノベーションが生まれにくくなるというリスクがあります。効率や安定感といったメリットを得られる一方で、組織全体の思考停止やマンネリ化につながる可能性を常に念頭に置いておきましょう。
会議やプロジェクトの進行においては、「予定通りに進むこと」と「柔軟な軌道修正を厭わない姿勢」をバランスよく取り入れることが大切です。今回解説したように、「筋書き通り」「既定路線」「想定内」といった類義語もシーンに合わせて活用しながら、コミュニケーションをより明確にしてみてください。



