ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が発表したデータによると、金地金を裏付けとする世界の上場投資信託(ETF)は4月、過去3年において最高の月間資金流入額を記録した。
世界のETFによる金の総保有量は3561トンとなり、先月比で115トン増加した。その結果、総保有量は、2020年10月に記録した新型コロナウイルスのパンデミック以来の水準に達している。
先月の資金流入総額は110億ドル(約1兆6500億円。1ドル=150円換算)となり、これにより運用資産総額(AUM)は3790億ドル(約56兆8500億円)と、過去最高を記録した。
AUMの増加は、金価格が4月に1オンスあたり3500ドル(約52万5000円)をわずかに上回る水準で過去最高を記録したことにも起因する。
WGCは、「世界の金取引量は全ての市場で大幅に増加した」「アジアにおける流入が急増し、北米では(中略)旺盛な需要が見られたが、欧州ではわずかな流出が見られた」と指摘している。
アジアで記録的な資金流入
WGCのデータによると、4月の資金流入の主な原動力となったのはアジアにおけるETF投資で、世界全体のほぼ3分の2(65%)を占めた。
月間の資金流入額は73億ドル(約1兆950億円)と過去最高を記録し、アジア地域のAUMを350億ドル(約5兆2500億円)に押し上げた。金保有量は前月比70トン増の320トンとなった。
WGCは、「需要の大半は中国からのもので、3カ月連続の資金流入となり、この地域では過去最高水準となった」とコメントした。
また、「米国との貿易摩擦が続いていることで、経済成長率の低下に対する懸念が高まり、株式のボラティリティが増幅し、自国通貨安への期待が強まっている」ことも、国債利回りの低下と同様に、金需要の増加の引き金となったと付け加えた。
WGCによれば、日本のファンドは7カ月連続で資金の流入となった。インドのETFも3月の資金流出の後、プラスのフローを記録した。



