サイエンス

2025.05.14 18:00

脳は真実より「物語」を求める 心理学者が明かす「偽りの結末」を避ける方法

New Africa / Shutterstock

「より健全な幕引き」を実践するには

幕引きは、すべてに答えを出すことではない。すべての答えを得ることは決してない、という事実と折り合いをつけ、それでも冷静に、自分への思いやりをもって、前に進む方法を見つけることだ。

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健全な幕引きは、偽りの確実性や、型にはまった物語に頼らない。自分自身が経験した豊かな感情を大切にしつつ、分からない部分を分からないまま残す。このような形で「獲得された結末」は、自ら内面に築き上げていくものであり、偶然見つかるようなものではない。

実践に役立つ習慣を、いくつか紹介しよう。

・分からないことを列挙する。分からないことを書き留めよう。あなたがいまだに困惑を覚える要素は何だろう? 何が未解決のままだろう? それから、こうした疑問に答えを出さないことを自分に許そう。無理に扉を閉ざす必要はない。いくつかは少し開けたままにしておいてもいいのだ。

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・事実を拠り所にする。本当だと分かっていることに注目しよう。あなたが確信をもって知っていることは何だろう? あなたの感情は本物だ。あなたの価値観は本物だ。あなたの努力には価値がある。自分にこう言い聞かせよう──「相手について、状況について、すべてを理解することはできないかもしれない。でも、自分自身のことは理解している」。それが安定した土台になる。

・ストーリーテリングの誘惑に抗う。あなたの脳は、空白を埋めようとするだろう。自分がストーリーを語るモードに陥っていないか注意しよう。自分にこう問いかけるのだ──「これは事実だろうか? それとも、いい気分になるために自分で紡ぎ出した、ただの物語なのだろうか?」 時には、ストーリーの矛盾を穏やかに指摘することも役に立つ。あるいは、自分が物語を作っていることにただ気が付くだけで十分なこともある。

・思いやりをもって幕を引く。終わりにするからといって、忘れなければならないわけではない。肯定する必要もない。「この章はめちゃくちゃだけれど、そこから抜け出すために何度も読み返さなくてもかまわない」と、自分に言い聞かせよう。あなたが友人に向けるような優しさを、自分自身にも向けよう。たとえ物語が望んだような結末にならない時でも、あなたは柔らかな場所に着地して良いのだから。

あなたの脳が結末を求めるのは、脳の欠点ではなく、特徴だ。けれども、こうした生まれつきの傾向を理解しておけば、「都合のよさ」よりも真実を、「心地良さ」よりも成長を、幻想よりも本当の癒やしを選ぶ力を得られる。時には、疑問を抱えたまま生きることこそが、何よりも勇敢な行為になるのだ。

forbes.com 原文

翻訳=的場知之/ガリレオ

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