働き方

2025.05.13 14:15

15年前に部活をやめた「桐島」と『教師には秘書をつけよ』論

突然バレーボール部を辞めたキャプテン桐島を地模様に描いた青春オムニバス小説『桐島、部活やめるってよ』(集英社文庫、単行本は2010年刊)

「教師には秘書をつけよ」

『教育をどうする』(岩波書店編集部)という題の430ページに及ぶ発言集が手元にある。

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『教育をどうする』(岩波書店編集部)
『教育をどうする』(岩波書店編集部刊、1997年10月20日第1刷発行)

1997(平成9)年、神戸市須磨区で小学5年生の頭部を中学3年生が切断し、校門にさらした連続殺傷事件(酒鬼薔薇事件)後わずか5カ月弱で編纂、各界識者316名の発言をまとめた大著。その中に収められている精神科医笠原嘉氏の「中学校の先生方にもう少しよい待遇を」という千文字提言に深くうなずく。

笠原氏は、「師弟という彫りの深い特別の人間関係」が成立しにくい時代において、とりわけ中学での教師との出会いは運命的だという。その理由を、青年期の神経症や心理的不調の開始点が中学にあることを挙げる。その中で、中学教師の給料を一倍半にしたいが、現状無理なのはわかるので、代わりに 1.教師何人かに一人の割合で秘書をつける 2.担当生徒数を減らす 3.部活動の兼任を廃する、と提言している。

これは同じく「先生」と呼ばれる医師にも当てはまると感じる。医療分野では診療補助スタッフに手当が出る仕組みがある。先生受難の時代、といっても大げさではない気がする(前回・前々回にも関連した文章を掲載)。

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最後に一言、教育の英語訳Educationについて。その語源はラテン語で外へ(Ex=Ed)と引き出す(Ducere)という意味。

子どもたちひとりひとりの潜在能力(Potential)を引き出し、外(社会)へ広げてやるのが、教育の本質であり、教師の役割ではないか。15年前、突然バレーボール部を辞めた「桐島」のポテンシャルは、まだ十分に引き出されていなかった可能性がある。

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