2010年代前半、ティタノボアの欠けていたピースが発見され、謎はさらに深まった
ティタノボアが最初に発見されたとき、研究者が手にしたのは巨大な椎骨だけだった。全長の推定には役立ったものの、ほかにわかることは少なかった。頭骨がなければ、この古代の大蛇が獲物を捕食した方法や、現生のボアやアナコンダとの類縁関係はわからない。
だが、2010年代前半、研究チームがコロンビアのセレホン炭鉱を再訪したところ、ティタノボア頭骨の断片(上顎と下顎、口蓋、頭蓋など)が新たに見つかった。こうして研究者たちは、初めてティタノボアの頭部を復元し、彼らの生活様式の全容を明確に捉えられるようになった。
復元された頭骨の長さは約40cmで、推定全長は14mあまりと、当初の推定よりさらに長くなった。だが、サイズ以上に注目すべきは、採食に関する適応だ。ティタノボアの歯は、顎骨との結合が強力ではなかった。興味深いことに、これは魚食に特化した現生のヘビに見られる特徴だ。しかし、現生のボア科の種に、魚を好んで捕食するものは知られていない。
しかもティタノボアの頭骨は、主要な骨どうしをつなぐ接合がゆるく、方形骨(頭の側面にある骨と下顎の骨をつなぐ骨)が下顎骨と浅い角度で接して顎関節を形成していた。これらはいずれも、魚食性と関連する形質だ。さらに、湿地に生息していたこと、古代の大型魚類の化石が近くで見つかっていることも合わせて考えると、ティタノボアの新たな姿が浮かび上がってくる。彼らは、ボア科では他に類を見ない、魚食性の超大型ヘビという、今まで知られていないタイプのヘビだったのかもしれない。
