企業ごとに異なる確認ニーズに対応できる、柔軟な自動化ソフトウェア
ペルソナが創業した2018年ごろは、本人確認業務は主に東欧を拠点とする企業などにより人間による手作業で実施されていたという。ソンのアイデアは、これをソフトウェアを使って行うというものだった。
ソンは以前に、ジャック・ドーシーが創業したフィンテック企業スクエア(現在はBlockに改称)でエンジニアとして5年間、本人確認や詐欺対策ソリューションの開発に携わっていた。スクエアは2010年代初頭に決済アプリのCash Appや融資サービスSquare Capitalといった製品を立ち上げ、いずれも異なる本人確認の手段を必要としていた。
ソンは、企業ごとに異なる確認ニーズに対応できる柔軟な自動化ソフトウェアの必要性に気付き、当時ルームメイトだったチャールズ・イェー(現在のペルソナCTO)と共に開発に着手した。
「オンライン上の本人確認における根本的な課題は、それが曖昧な要素を含むものであり、コンプライアンスから詐欺防止やセキュリティに至るまで、あらゆる目的で使われる点にある」とソンは指摘する。「企業は本人確認を万能薬のように扱ってきた。しかし、私が見てきた限り、それを解決する単一のソリューションは存在しなかった」。
人々が自分自身で所有する持ち運び可能なID
AIエージェントに関しては、まったく別の解決策が求められることになりそうだ。ソンは、企業が開発するエージェントについては、見分けやすくするために登録制にすることを想定している。一方人間に関しては、日常のオンライン活動の蓄積をもとに、各人の「IDプロフィール」をペルソナが構築できるようにしたいと考えている。
これにより、人間であるかどうかを迅速に確認できるようになる。このプロフィールは改ざん耐性があり、再利用可能な形であらゆるサイトの本人確認プロセスで提出できるようにするという。ソンは、明らかなプライバシー上のトレードオフがあったとしても、利用者はこうした仕組みを使いたがるだろうと考えている。
「今の時代、人々は自分自身についてどんどん多くの情報を開示している。あまりにも多くの情報を差し出している」とソンは語る。「私たちの夢は、人々が自分自身で所有する持ち運び可能なIDをデジタルの世界で実現することだ」と彼は続けた。


