多くの人がこのところ関税や貿易、経済についてやきもきしている。米国のワイン業界も例外ではない。消費者が食料品や日用品の値上がりを心配する一方で、業界関係者は世界のワイン市場を取り巻く不確実性に身構えている。
国際ブドウ・ワイン機構(OIV)のジョン・バーカー事務局長は2024年のワイン業界に関する最近の発表で、「貿易はワイン業界の生命線だ」と述べている。「ワインの2本に1本は原産国以外で消費されている」とも指摘する。
2本に1本。少し考えてみてほしい。
世界貿易に大きく依存する業界は、どのようにして不確実性と混乱の影響を軽減するのだろうか。その答えは誰に尋ねるかによって変わってくる。だが、ワイン評論家のエリック・アシモフが米紙ニューヨーク・タイムズに書いたように、「米国ではワインに関わるほとんどの人が何かを失うことになる」だろう。
関税の現状
ドナルド・トランプ大統領は2月上旬以降、追いつくのが難しいほどさまざまな関税措置を発表し、実際に導入したり撤回したりし、脅したりもしてきた。米国に輸入される欧州連合(EU)加盟国産のワインに200%の関税を課すとの脅しは現実のものとならなかった。EU産ワインに20%、南アフリカ産ワインに30%、イスラエル産ワインに17%という関税案は現在、一時停止されている(90日間)。
米国が輸入品に一律で課す10%の関税は、輸出よりも輸入の方が多い国を含め、すべての国からの輸入品に適用される。ワインも対象だ。加えて、カナダとメキシコが米国に輸出する製品の約半分に最大25%の関税がかけられている。これを受けて、カナダの10州のうち9州は小売店やレストランから米国産ワインを撤去した。米国のワイン業界にとってカナダは最大の輸出先であり、その規模は年約10億ドル(約1440億円)だ。
米国のワイナリーにとって中国は大きな輸出市場ではないが、着実に成長しており、2024年には5000万ドル(約72億円)に達した。さらに、ガラスなど米国のワイナリーが使用する製品の多くは中国で生産されている。中国からの輸入品に対する145%の関税がいつまで続くかは見通せない。トランプは145%の関税が「大幅に引き下げられる」ことを示唆しているが、その時期は不明だ。



