不確実性に備える
米テキサス州ダラスにあるレストラン「クォーター・エーカー」では、シェフのトビー・アーチボルドが世界中を旅した経験と、ニュージーランドにルーツを持つことから、店で出すワインはオーストラリア産とニュージーランド産が中心となっている。同店の副総支配人兼ビバレッジディレクターであるジェイコブ・ファーガスはこれまで関税をあまり気にしていなかった。
「顧客に食事や飲み物を提供するという文脈で関税について質問を受けた場合、通常、当店のサービスにとってプラスになると考える」とファーガスは話す。「ニュージーランドとオーストラリアはEUのワイン生産者と同じ扱いにはならないため、これまでの関税措置ではニュージーランドとオーストラリアのワインの価値提案は向上した」。
3層構造のため10%の関税は吸収しやすいが、不確実な状態では計画を立てるのが難しい。
「事業計画に関していうと、ワインの価格を予測するのは難しい。全国展開する大手チェーンを除き、レストランは基本的に価格をコントロールできず、流通と供給に左右される」とファーガスは語る。「ワインは予告なしに価格が変わることがあり、時には卸の営業担当者が驚くことさえある。私たちにできることといえば、何か変化が起き始めたらすぐに対応することくらいだ」。
2024年のワイン業界についてのOIVの説明によると、生産量と消費量は1961年の水準にまで落ち込んでいる。関税がもたらしている不確実性はこの落ち込みを回復させるどころではない。
「貿易はワイン産業の生命線だ。多様性に富み、高度に結び付いた文化交流だ。それは安定性にかかっており、今日、安定性はこれまでになく重要になっている」とOIVのバーカーは言う。
ワインも販売するダラスのバー「ワインタスティック・ワインバー」創業者兼オーナー、テリー・バーニーは、2019年の関税措置を踏まえて、大統領選があった2024年11月にはサプライヤーと共に今回の関税に備えた。バーニーによると、多くの業者は関税を見据えて大統領選の直後にワインを買い入れたという。
「当社は小さいため、必要に応じてすぐに在庫を切り替えることができる。臨機応変に動く」とバーニーは言う。「今後数カ月は大丈夫だ。だがこの状況が何年も続くとしたら、それはまた別の話だ」。


