経済

2025.05.11 13:00

貿易に依存する米国ワイン業界に関税の暗雲、中小業者の統廃合も

flydaniel / Shutterstock.com

中小企業と地域社会に打撃

米ジョージア州オーガスタにあるレストラン「エイブル・ブラウン」のマネージングディレクター、ニコール・ノウリンは一喜一憂しないように努めている。できる限り多くのワインを保管をしているが、店舗面積は小さいため、大量の在庫を抱えることはできない。ノウリンはペレス同様に関税が中小企業に及ぼす影響を懸念する。

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「輸入業者や生産者、小売業者、レストランの多くは中小企業だ」とノーリンは言う。「知っている関係者の多くは(トランプ政権1期目時の)2018年の関税措置や新型コロナの影響、輸送やワインのコスト上昇のダメージからまだ立ち直っていない。利幅は非常に小さく、連鎖的影響は大きい。回復には何年もかかる。最悪だ」。

ノーリンは、中小の輸入業者が関税による価格高騰のために、貴重なワインの年に一度の割り当てを見送らなければならなくなる事態を懸念する。もし見送ると、輸入業者は将来そのワインの割り当てを失うリスクがある。生産者が中国など他国への販売を増やし、その結果、港湾労働者やトラック運転手、農家、管理人など米国の多くの労働者に影響が及ぶことをノーリンは恐れている。

「思いもよらない多くの人々が影響を受けるだろう。悲観的にはなりたくないが、小規模な生産者や輸入業者、卸業者、小売業者、レストランは消えることになる。これが私たちの望むことなのだろうか。大手チェーン店がひしめく小規模な商業施設のような業界になってしまうだろう」。

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こうした専門家たちは、ワインは共同体であり、物語や歴史を通じてつながるものだと考えている。

「扱うワインが多様であればあるほど、顧客にとって興味深いワインリストになる」とノーリンは話す。「ワインはホスピタリティだ。レストランではワインをめぐって顧客と交流し、生産者や醸造の話をする。カクテルを勧めても同じつながりを維持することはできない」。

ペレスも同意見だ。「ワインは替えが効かないものだ。数千年もの時を経て形成されたフランス・ブルゴーニュ地域の共同社会を複製することはできない。ブドウが栽培されている土地の自然環境がワインに反映されていればいるほど、複製は難しくなる」

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翻訳=溝口慈子

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