関税の影響
ワインとスピリッツに関する講座や試験を実施しているワイン・アンド・スピリッツ・エデュケーション・トラスト(WSET)で学び、ディプロマを持つ元ワイン小売販売員のトラヴィス・ペレスは「関税200%は考えられなかった」と言う。「25%であれば、それでも不利ではあるが、輸入業者や卸業者が少し負担することで、全額を消費者に負担させずに分散できる可能性がある。実際に関税率がどのような数字に落ち着くか分からないため、計画を立てにくい」と話す。
ワイン(アルコール)業界はいわゆる3層で構成されている。
・第1層:アルコール飲料を生産するワイナリー(蒸留所、醸造所も含む)。生産者が小売店やレストランに直接製品を販売することは法的に制限されている。外国産のワインを米国に持ってくる役割を担う輸入業者もこの層に入る。
・第2層:卸業者は、輸入業者から外国産のワインを、またワイナリーから国産のワインを購入する。そしてワインの保管や輸送を担い、小売店やレストランとの販促も行う。
・第3層:ワインショップやバー、レストラン、酒販店、食料品店などの小売業者。ワイナリーからの直接購入を除き、消費者がワイン(ビール、スピリッツなど)を購入できる唯一のルートとなる。
関税がそのまま消費者に転嫁されないよう負担を分散させるとペレスが言っているのは、この3層がそれぞれ負担することを指す。小規模のワイナリーや輸入業者、卸業者、小売業者はかなり薄利で、関税を吸収できない事態をペレスは懸念する。
「統合につながる可能性がある。従業員は解雇されるだろう」とペレスは話す。「また、小売店やレストランへの流通を卸業者に頼っている、国内の生産者にも影響が及ぶだろう。というのも、卸業者は多くの生産者の製品を扱うようになり、いずれの製品も売れ残るからだ」。
これが重要な点だ。関税は米国のワイナリーにも悪影響を及ぼす。米国のワイナリーも、小売店への流通、最終的には消費者にワインを届けるのを卸業者に頼っているからだ。統合は少数の卸業者が多くのワインを供給するようになることを意味する。このシナリオでは、小規模ワイナリーは競争力を失いがちだ。


