働き方

2025.05.06 10:00

88%の労働者が「燃え尽き」実感、超長期の有休休暇を導入する米国企業が増加

Gorodenkoff / Shutterstock

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履歴書作成サービス「MyPerfectResume」が最近行なった調査(2025年3月。対象は1200人以上の米国在住労働者)では、「燃え尽き症状を感じている」と訴える従業員の割合は、全体の88%という驚くべき高率に達した。さらに、仕事を辞めることを毎日考えると答えた者も、5人に1人に上った。

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こうした、静かな疫病ともいうべき燃え尽き症候群が従業員の間で広まるなかで、「サバティカル休暇」を導入する企業が増えてきている。サバティカル休暇とは、かつては学問の世界に属する者だけに与えられるぜいたくとされていた、長期の有給休暇のことだ。これが今では、燃え尽き対策や人材の流出防止、さらには、従業員再活性化のための戦略的ツールとして、企業でも用いられるようになっている。

世界保健機関(WHO)の推定によると、うつ症状や不安症状によって年間に失われる労働日数は、延べ120億日に達する。こうした状況のもと、先見性のある企業では、意味のある長期休暇がもたらすメリットを享受するのは従業員だけではなく、企業側にもメリットがあることを認識している。サバティカル休暇は、ビジネスの持続可能性にとっても重要だと彼らは考えているのだ。

サバティカル休暇は、限られた者だけに提供される特権的制度ではなく、健康的でエンゲージメントの高い労働力を維持するために重要な戦略へと、その意味合いを変えつつある。以下で、その過程を検証してみよう。

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「サバティカル休暇」とは何か

サバティカル休暇とは、勤務先の企業に籍を置いたまま取得できる長期休暇のことだ。その期間は1カ月から、長いもので1年に及ぶ場合が多い。企業の方針によって、給与の全額が支払われる場合もあるし、減額される場合や、まったく無給の場合もある。サバティカル休暇では、通常の休暇と異なり、休息や旅行、新たなスキルの習得、個人的な関心事の追求などに使える意義ある時間が得られる。

サバティカル休暇のコンセプトは、古代ユダヤの風習にその起源を持ち、1880年にハーバード大学で制度化された。今日では、サバティカル休暇は学術界の枠を越えて進化し、深刻化の一途をたどる燃え尽き危機への対策として、企業にとって価値ある福利厚生へと姿を変えている。

次ページ > 企業側がサバティカル休暇を積極導入する5つの理由

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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