ロシアがウクライナに対して起こして3年2カ月あまりたつ全面戦争の1100km以上にわたる前線のどこかで、ロシア軍のドローン(無人機)は見慣れないものを発見した。そして攻撃を加え、撃破まではいかなくとも損傷を与えた。それは、ウクライナ初の国産155mm牽引式榴弾砲である2P22ボフダナ-Bだった。
ロシア軍のある将校がソーシャルメディアで共有した動画には、前線を徘徊するFPV(一人称視点)自爆ドローンが、偽装された射撃陣地に半ば隠されたウクライナ軍の牽引式榴弾砲を見つけ出し、そこに突っ込んでいく様子が映っている。
OSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストのアンドルー・パーペチュアが最初に、攻撃された大砲は2P22ボフダナ-Bだと確認した。初期生産分の一門とみられる。
Ukrainian made 2P22 Bohdana-B in combat. This is the first time I have confirmed to have seen one, but I think I saw another a few days ago because I saw a similar looking gun but could not identify what it was. pic.twitter.com/p2fWsHcxLw
— Andrew Perpetua (@AndrewPerpetua) April 29, 2025advertisement
こうしたドローン攻撃自体は珍しいものではない。ウクライナの前線ではドローンが四六時中いたるところを飛んでおり、大砲を含め、両軍の損害のかなりの部分をもたらしている。
ロシア軍が全面侵攻を始めた2022年2月時点で、ウクライナ軍は牽引砲をおよそ500門保有しており、以来、ロシア軍との交戦でざっと200門を失った。一方で、この間に支援諸国から牽引砲をおよそ400門供与されたので、開戦前よりは200門程度増えていることになる。
とはいえ、ウクライナ軍の地上兵力が過去3年で大幅に拡大したことを考え合わせると、200門の積み増しでは少なすぎる。ウクライナに再利用可能な旧式の牽引式榴弾砲が数百両保管されていたのは間違いないが、これらはすべて旧ソ連で設計されたもので、使用する砲弾は西側設計の榴弾砲の標準である155mm砲弾ではなく、122mm砲弾もしくは152mm砲弾だ。
ウクライナ軍の首脳部は大砲の口径も西側と統一させていきたいと考えている。自軍の砲兵ドクトリンを西側式に準拠させるとともに、砲弾調達で欧州のサプライチェーン(供給網)を利用できるようにするためだ。



