リーダーシップ

2025.05.12 08:00

「データドリブン」4つの基本、直感に頼らずデータをもとに意思決定する

puhhha / Shutterstock

puhhha / Shutterstock

ビジネス界では、直感に従って行動することが、大胆なリーダーシップとして称賛される場合もある。確かに直感は、意思決定の際に役に立つこともあるが、データをもとにした明快な根拠に置き換えられるべきものでは決してない。直感を頼りに決断を下せば、その瞬間こそは自分を力強く感じるかもしれないが、長続きする戦略ではない。経営状態が危機に瀕しているときであればなおのこと、直感を頼りにすべきではないだろう。

advertisement

データを根拠に意思決定や行動を起こす手法「データドリブン」は、大企業の専売特許というわけではない。自社を戦略的に成長させ、利益を確保し、大きな過失を避けたいと考えている経営者には欠かせないものだ。感情ではなく「客観的事実」をもとにすれば、必要な洞察が得られ、自信をもって規模を拡大できる。

直感に頼った経営の限界

直感は、役に立つこともあるが、常に頼りになるわけではない。直感は感情的なもので、経験や個人的な偏見、その時々の気分から形づくられ、客観的な分析の代わりにはならない。価格設定や人材採用、成長戦略にかかわる重要な意思決定を行う際には、フィーリングだけでは不十分であり、事実が必要だ。

起業家がよく陥る罠がある。自分が信じたいことを裏付ける情報だけを集めたり(確証バイアス)、リスクを恐れるあまり無難な意思決定を下したり、目新しくてワクワクするけれども自分のビジネス戦略と合致しないことを追いかけたりしがちだ。直感を頼りにしていると、そのときは「正しい」と思えたとしても、結局は誤った道へと進んでしまう恐れがある。

advertisement

その代償は大きい。明確な財務計画がないまま、適切でないツールに無駄なお金を費やしたり、クライアントが支払ってくれる金額を当て推量した結果、不当に低い価格を設定したり、人材採用を急いだり(あるいは出遅れたり)する羽目になる。こうした失策は、効率が悪いばかりか、成長の足を引っ張ったり、会社の財務状況を危機に陥れたりしかねない。

では、「データドリブン」とはどのようなものか?

データにもとづき意思決定する手法「データドリブン」は、まずは適切な重要業績評価指標(KPI)を追跡するところから始まる。KPIとは、新規顧客の獲得コストや利益率、キャッシュフロー、売上の伸び率など、業績を表す基準のことだ。数字に目を向ければ、何が効果的で、何が効果的でないのか、焦点を絞るべきは何なのかがはっきりと見えてくる。

財務データ、とりわけキャッシュフローと利益率、売上の動きを把握すると、それが説得力のある土台となり、賢明な決断を良いタイミングで下せるようになる。価格の引き上げや、マーケティングへの投資、チームメンバーの増員などに適したタイミングを、当てずっぽうで推測せず、数字が指し示すことを理解し、それに従って行動することが可能になる。

例えば、特定のサービスラインの利益率が最も高いことがデータで示されたら、そのラインの宣伝を強化しようと決定を下すかもしれない。あるいは、マーケティング費を投じても一貫したセールスにつながっていない場合は、戦略を調整すべきタイミングだと気付く。

判断がデータによって裏付けられているとき、受動的ではなく戦略的に動けるようになり、リスクが低下し、持続的に成長できる可能性も高くなる。

次ページ > 「データドリブン」な意志決定を始める方法

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事