4月10日、KDDIが衛星通信サービス「au Starlink Direct」を開始し、同月23日には楽天モバイルが、「Rakuten最強衛星サービス」を2026年第4四半期(10-12月)に開始することを発表した。
「Direct to Cell」(以下DTC)と呼ばれるこれらの通信サービスでは、市販のスマホがそのまま衛星に接続するため、地上の基地局を必要とせず、空が見えればどこでも回線につながる。米国ではTモバイルが2月から無料キャンペーンを開始していたが、いよいよ日本国内でも本格始動する。
auユーザーは当面無料

スマホと衛星が直接つながるDTCでは、低軌道(高度2000km以下の地球周回軌道)に多数配置された「衛星コンステレーション」と呼ばれる衛星群を介して通信が行われる。KDDIの場合はスペースX社と提携し、同社が運用する「Starlink(スターリンク)」を使用する。DTCに対応するスターリンク衛星「V2ミニ」は、地表から535kmまたは559kmの低軌道上にあり、高度3万6000kmにある静止衛星と比べて通信者との距離が64~68分の1と近い。そのためレイテンシーと呼ばれる通信時のタイムラグが圧倒的に低減される。
既存のauユーザーは最新OSにアップデートして、簡単な設定を完了すれば即座に利用可能となり、地上局との通信が途絶えた場合、自動的に衛星との通信に切り替わる。Android スマートフォンやiPhoneなど、市販のスマホ約50機種(2025年4月時点)に対応し、利用料は当面は無料。ただし、現時点でのサービスはベータ版(試供版)であり、その通信はテキストメッセージ(SMSやRCSなど)の送受信、RCSを使った位置情報の共有、Googleメッセージを介した生成AI 「Gemini」とのチャット、各種緊急速報の受信などに限られる。周波数帯としては2GHz帯が使用される。
ウェブ閲覧や動画配信などのデータ通信は2025年夏以降に対応予定とされるが、その際には新たな料金体系が設定されるはずだ。UQモバイルやpovoなど、au回線を使用する他のキャリアやSIM契約は現時点では対象外だが、今後、これらの格安スマホでの利用プランも検討されるという。