3. 攻撃的になる
別れたあと、混乱したり動揺したりしたせいで、不可解な怒りを爆発させる人もいる。粗暴になったり、復讐心に燃えたり、挑戦的になったりして、身体的な暴力へとエスカレートするおそれもある。
それほど一般的ではないが、恋人との関係が崩壊したあとに身体的または精神的な攻撃性を示すケースはあり、立証も十分になされている。本稿の冒頭で挙げた2025年発表の研究はこの点を裏付け、このカテゴリーに含まれる行動を、さらにいくつか詳しく説明している。
復讐のためのセックス
自らの存在を主張するため、あるいは、裏切られたと感じた反動で性行為に及ぶことは、人間の奥底に秘められた原始的な衝動を示すものだ。進化論では、生殖と繁殖機会は密接な関係にある。その意味で、繁殖価(reproductive value)を取り戻すためなら手段を選ばない人もいるかもしれない。たとえ感情的または身体的に危険な問題が伴うとしても、だ。
純粋な怒り
怒りは強力な感情であり、よからぬ事態の前兆だ。進化的な観点から見た場合、怒りを覚えると、体は「敵」に立ちむかうために身体的リソースを動員し、闘争・逃走反応に備えて身構える。一方で、愛する人との別れという観点に立つと、こうした怒りは、自分の生存確率に大きく寄与してくれたパートナーを失うという「不当行為」に対するさまざまな自然反応のひとつにすぎない。
身体的な攻撃性
2025年の調査研究に参加した人のうち、身体的な行為に及んだ割合は4%いた。こうした反応は、下から2番目という少ないものだった。こうした身体的な反応は、多大な感情的・身体的な害が生じるわけだから、どのような形であれ、許されることではない。認めることはできないし、そうすべきでもない。それでも、身体的な暴力は、極度のストレス反応と考えることができる。支配力を主張しなければならない、あるいは自分の適応度にとって脅威ととらえたことに対して報復しなければならない、という思いがある証拠だ。一般的ではないし、有害な行動ではあるが、身体的な暴力は、歴史的に見れば、競争相手を撃退したり、失われた地位を回復したりするための手段として機能していたのかもしれない。
自殺すると脅す
およそ2%と、サブタイプ中で最低だったのが、苦痛を最も極端な形で表現した「自殺する」と脅す行為だ。進化の観点から見れば、逆効果に思えるかもしれない。しかし、この行為は往々にして、喪失感によって心のバランスが失われてしまった人にとっての最終手段だと理解することが重要だ。こうした行動は、人類が進化するなかで、より一般的なストレス反応が転じたものなのかもしれない。にもかかわらず、現代社会では、自殺すると脅すことは一般的に、助けを必死に求める声であるか、相手を操る最も陰険な手段のひとつとして使われる。身体的な行為ではないものの、相手を操る手段なのであれば、脅された相手には、身体的な爆発や暴力と同じくらいの悪影響が感情面に及ぶ可能性があり、やはり受け入れがたい行為だ。
恋人やパートナーと別れた後のこうした攻撃的反応は、科学的に秩序だって分類されているが、実際に感じる怒りは、秩序だったものなどでは決してない。だからといって、その感情のままに、有害な方法で反応してもいいということではない。
しかし、大きくて不快な感情を持てあましてしまうのは、人間だからだ。裏切られ、拒絶されたと感じ、怒り狂うかもしれない。そんなときは、専門家による配慮や治療が必要だ。あなたやあなたの元パートナーを危険にさらしてしまいかねない場合は、なおさらだ。
進化論は、愛する人との別れのあとに人が大きく動揺する理由を理解する上で参考になるかもしれない。しかし、別れのあとに嵐のように襲ってくる思考や衝動、胸の痛みを完全に説明することはないだろう。


