2. 受容と忘却
ほぼどんな人でも、パートナーとの別れの直後は嘆き悲しむ。とはいえ、数週間ほど経つと、予想よりずっと早く、自分の心境にわずかながら変化が生じていることに気づき始める人もいる。失った愛に固執するより、相手との接触を断ち、代わりに趣味に時間を費やしたり、古い友だちに連絡を取ったりするようになるのだ。
こうした人の場合は、過去に思いを巡らすのをやめて、趣味などに取り組み、(早くても遅くても)心境が変化することで、人生を立て直しやすくなる。受け入れ、忘れるという反応には、次のような行動が含まれる。自分で自分をコントロールする力を再び手にし、いつもの日常を送れるようになるための行動だ。
相手との接触を断つ
別れたパートナーとの接触を意図的に断つのはよく見られる戦略だ。過去を思い出すきっかけを減らせば、立ち直ることに集中でき、とても効果的だ。進化という点では、「相手のことをあえて考えない」という意図的な行動は、感情にさらなる負担をかけないよう自らを守るための適応手段と考えられる。その結果、心理的リソースが確保され、新たな社会的機会に備えられるようになる。
受け入れる
パートナーとの別れを受け入れることで、つらい思いをしながらも実感できることがある。長い目で見れば、すべての人間関係にメリットがあるわけではない、ということだ(はじめは、頭と心が必死になって抵抗するだろうが)。関係の終わりを受け入れることは、適応度のさらなる低下を最小限に抑え、未来や、より充実した関係を築ける可能性に向けての準備になる。
忙しくして気を紛らわす
別れを経験した人のおよそ81%は、気を紛らそうと努力する。これは3番目に多い反応で、暗黙の進化的論理が働いているということだ。恋愛関係が終わったときは、趣味や運動、仕事などに目を向けると、心の軌道を修正できる。そうすれば、目の前の苦痛が軽くなるのはもちろん、心理的リソースの復活にもつながる。関係維持のためにリソースを仕向ける必要はもはやない。
理論上は、「受容と忘却」の背景には進化的論理があって、古いものを捨てて新しいものを受け入れるという、合理的なプロセスを示唆している。とはいえ実際には、単純に割り切って先に進めることなど無きに等しい。どんどん立ち直っていると思える日もあれば、とてつもない勢いで思い出に押しつぶされそうになる日もある。
人間にとって、何かを手放すのが難しいのは当然だ。喪失感や、相手に対する強い思いは、そう簡単には消えず、面倒で、複雑なものだ。というわけで、自分が、遠い昔の先祖やほかの人のように気持ちを切り替えられない場合でも、自分につらく当たってはいけない。


