サイエンス

2025.04.30 18:00

恋人やパートナーと別れたときに見られる典型的な3つの反応

Antonio Guillem / Shutterstock

1. 悲しみと落ち込み

ほとんどの人は、恋人やパートナーと別れた直後に、どうしようもない悲しみに襲われる。2人で過ごした最後のひと時を、毎晩のように頭のなかで何度も再現しては、「いったいどこで間違えたのか」と必死になって考える人もいるだろう。手がかりを求めて、相手のソーシャルメディアを徹底チェックする人もいる。こうした感情はおなじみだ、という人もいるかもしれないが、研究では、こうした状況はごく自然なものであることが示されている。

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『Evolutionary Psychology』で発表された研究によると、「恋人やパートナーと別れたあと、強い悲しみを覚えたり、ひどく落ち込んだりする」と答えた人は92%に上った。進化の観点から見ると、このような感情的崩壊は、パートナーを失ったことによる多大な苦痛の表れだ。

人類の祖先にとって、他者と真剣な関係を築くことは、単なる恋愛ではなく、非常に重要な生存手段だった。パートナーがいることは、食料などを共有でき、互いに保護し合い、生殖の可能性を高めることを意味した。

私たちは現代社会に生きており、祖先のような脅威にさらされることはないかもしれない。しかし、それでもなお人類のDNAには、パートナーとの別れを、「適応度」(つまりは生存や繁殖の可能性)が下がる状況とみなすよう、刷り込まれている。そして、その影響がいくつかの形で発現する場合があることが、同研究では示されている。

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相手の気持ちを変えようとする

多くの人は、仲直りしてよりを戻せるかもしれない、という希望に、ついすがってしまう。そうやって相手の気持ちを変えようと努力する背景には、親密なパートナーを失うのは、安全やリソース共有といった相互利益を失うことと同じだと、無意識のうちに感じていることがあるかもしれない。言い換えれば、パートナーがいてくれれば、進化論的な適応度が上がり、優位さを拡大できる、と感じられるわけだ。

理由を探る

別れた後の反応として2番目に多いのがこの行動だ。研究によると、別れを体験した人の85%は、説明を求め、関係を終わりに導いた原因を理解しようとする。この行動は、将来的にほかの人と関係を結ぶために、過去を学び直し、修正するための心的な戦略と考えられる。これはひとつの適応機制であり、生殖や生存の確率低下につながり得る原因を分析するよう、私たちに促す働きだ。

別れた相手をこっそり調査する

多くの人は、別れたあとでも元パートナーの人生について知ろうとする。スパイのように相手の言動をこっそり調べたりするのは、相手が「もっといい相手」(適応度がもっと高いパートナー)を見つけたのかどうかを探る最大の手段のひとつだ。生存に影響を及ぼす配偶者選択の力関係において、自分がどの立ち位置にいるのかを評価する方法なのだ。

専門家の助けを求める

現代的なやり方に思えるかもしれないが、セラピストや信頼できる友人に相談するという傾向は、喪失感に見舞われたときに社会的なサポートを必要とする、人間の根本的欲求と結び付いている。進化の観点から見ると、他の人に助けを求めれば、協力関係が生まれ、周囲の支えに慰めを見出せる。ひいては、パートナーを失ったことで生じたストレスに対処しやすくなる。

このような進化論をもとにした説明は、科学的に筋が通っているものだが、パートナーとの別れで感じる悲しみは、それだけでは説明できない。感覚が麻痺したような状態で目覚める日もあれば、思い出の重みに耐えきれない朝もある。感情が激しく変化するせいで、疑問を抱いたり、泣いたり、笑ったり、思い出がよみがえったりすることが一気に起こる。

心はコンピューターではない。悲しみで混乱したり押しつぶされそうになったりするのは、ごく普通のことなのだ。

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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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