映画

2025.04.26 16:00

依然人気のNetflix『アドレセンス』が80カ国の「親」を震わせた3つの理由

Courtesy of Netflix

『アドレセンス』は、すべての親たちの心の奥深い部分にある根源的な恐怖を呼び起こす。それは、出来事やテクノロジー、そして世界や子どもたちが変化するめまぐるしいスピードから、取り残されていくのではないかという恐怖だ。

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このドラマの最終話で描かれる悲痛なシーンで、父親は息子の部屋で泣き崩れる。息子が幼いころから持っているテディベアに向かって、「もっと頑張るべきだった」と泣きながら謝る。世界中の親たちは、自らを省みる情け深い父親の言葉に、震えることだろう。

女性たちに向かう男性たちの「怒り」

世界は何十年にもわたって、女性と少女たちと男性たちの立場を平等にするための支援に力を入れてきた。だが、いま必要に迫られているのは、その中で後れを取ってきた男性と少年たちの苦しみに目を向けることだ。

幅広い分野において男性たちにみられるこうした驚くべき傾向は、少年が自らの男性としての特質に疑いを持つ同学年の少女に腹を立て、殺害するという性差に基づいた最悪の事態を描くこのドラマの、文化的背景となっている。男性たちの怒り、特に「manosphere(マノスフィア)」の一部において顕著に表される怒りは、着実に高まっている。

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American Institute for Boys and Men(米国少年・成人男性研究所)の創設者であるリチャード・リーブスやニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスのスコット・ギャロウェイ教授(マーケティング学)、ニューヨーク大学のナイオビ・ウェイ教授(発達心理学)をはじめとする研究者たちが指摘しているとおり、その原因は数多くある。それは、以下のようなものだ。

・成績不振:小学校から大学まで、男子はすべての学年で遅れをとっている。女子に比べ、大学進学率は低い傾向がある一方、進学後に中退する可能性は高い。先進国の大半で、教育においては女子の方が有利になっている。

・男性労働者の減少:労働者階級、教育水準が高くない層においては特に、男性の労働参加率が低下する傾向にある。多くの男性たちが仕事から離れた原因は、主に自動化やオフショアリング、経済の変化により、伝統的に男性が大半を占めていた分野が縮小したことにあると考えられている。

・メンタルヘルスの問題と孤独:自殺や依存症は、男性の方に多く見られる。メンタルヘルスの問題に悩まされている人が多い一方、助けを求めようとしない傾向があるのも男性だ。それは、男性らしさに関する文化規範の影響が大きいと考えられている。また、男性は特に中年期以降、孤独や親密な人間関係の欠如を経験する人が多くなっている。

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編集=木内涼子

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