北米

2025.04.25 15:30

トランプ、共和党内部から浮上した「富裕層への増税案」に反対表明

ドナルド・トランプ米大統領(Chip Somodevilla/Getty Images)

ドナルド・トランプ米大統領(Chip Somodevilla/Getty Images)

トランプ米大統領は4月23日、共和党内で議論されている年間所得100万ドル(約1億4400万円)以上の「ミリオネア」に対する所得税率の引き上げ案に懐疑的な見方を示し、そのような増税は「混乱を招く」と主張した。

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トランプは、ホワイトハウスの大統領執務室で記者団に対し、「このような政策は大きな混乱を招くだろう。なぜなら、ミリオネアたちが国を離れることになるからだ」と述べた。「富裕層がいなくなることは、良くない。なぜなら富裕層こそが税金を納めているからだ」と彼は語った。

共和党のマイク・ジョンソン下院議長もFOXニュースの取材に対し、ミリオネアの所得税率の引き上げに賛同していないと述べて「私たちの党は伝統的にそれに反対する立場にある」と語った。彼はまた、「さまざまなアイデアが話し合われた」と述べて、共和党が近く提出予定の国内政策に関する法案をまとめる過程で議論があったことを明かした。

ブルームバーグによると、検討されていた案の中には、年間所得が100万ドル以上の富裕層の所得税率を40%に引き上げる内容が含まれていたという(現状の最高税率は37%で、2024年度の申告では年間所得が60万9350ドル[約8750万円]以上の個人がその対象となる)。

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ワシントン・ポスト紙は、これに先立ちバンス副大統領とラッセル・ボート予算局長が、年収が100万ドルを超える米国人に対する増税に前向きな姿勢を示していると報じていた。また、長年のトランプの側近であるスティーブン・バノンもこの案に賛同し、「考えるまでもない」と述べていた。ベッセント財務長官も、年収が500万ドル(約7億1800万円)を超える富裕層への増税に前向きだと報じられていた。

しかし、トランプは、今月初めにミリオネアの税率引き上げの案に一定の理解を示していると報じられたものの、共和党が現在、今年で失効を迎える2017年の減税措置の延長を目指している中で、富裕層への増税からはおおむね距離を置いている。

保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のカイル・ポマロー上級研究員は、トランプ政権1期目で37%に引き下げられた最高税率が39.6%に戻された場合、「今後10年間で約4000億ドル(約57兆4000億円)の歳入増が見込まれる」と述べたとワシントン・ポストは報じていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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