海外

2025.04.15 10:30

OpenAIに挑む、AIエージェントの米Writerに大手企業が熱視線を注ぐ理由

Writerの共同創業者でCEOのメイ・ハビブ(Big Event Media/Getty Images for HumanX Conference)

Writerは、昨年秋の投資家向け資料に2023年の収益が930万ドル(約13億円)、2024年の収益予測を2800万ドル(約40億円)と記していた。同社は、これらの数値が不正確だとしてコメントを控えたが、現時点で5000万ドル(約71億円)超の契約があり、年内にはその2倍の1億ドル(約140億円)に達すると見込んでいるとフォーブスに明かした。

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ノーコードで「AIエージェント」を作成

同社が今後の成長に自信を持つ理由のひとつが、人間の業務フローの一連の作業を代替するAIエージェントを作成する「AI HQ」と呼ばれる最新のツールだ。このツールは、たとえば金融アナリストであれば、決算説明会の書き起こしからデータを抽出して分析を加え、すべての顧客にパーソナライズされた内容をメールで送信するようなエージェントをノーコードで作れるという。年間の使用料が数百万ドルに上ることもあるこの製品には、すぐに使える70以上のプリセットアプリが含まれている。「もはや人間は自分で仕事をするのではなく、仕事をしてくれるAIを作ればいいのです」とハビブは言う。

WriterのAIエージェントは、昨年の売上高が163億ドル(約2兆3000億円)のフィンテック企業Intuit(インテュイット)や354億ドル(約5兆円)の住宅建設大手Lennarなどの企業に利用されている。LennarのCTOであるスコット・スプラドリーによれば、同社のエージェントはこれまで顧客の数千件の問い合わせメールに返答し、物件の見学の予約を手配し、価格や所在地などの情報を提供したという。「このツールによって問い合わせ数が増え、アクティビティが活発化し、より質の高い見込み客を獲得できている」と彼は語る。

エンタープライズ向けAIの市場規模は、現状で580億ドル(約8兆3000億円)規模とされているが、2027年までに1140億ドル(約16兆3000億円)へと倍増する見込みであり、競争は激しさを増している。OpenAIやAnthropic(アンソロピック)などの大手はAIモデルの基盤を提供しており、企業はそれをもとにツールを構築できるが、実際の運用には開発者チームが必要で、定期的なアップデートも欠かせない。その点、Writerのテクノロジーは、基本的にプラグ&プレイ形式で、ユーザーがドラッグ&ドロップで操作できる使いやすさが特徴で、毎回、完璧なプロンプトを入力する必要もない。

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自社製AIモデルの強み

この使いやすさは、Writerが同社のツール基盤に自社製のAIモデルを使用していることに由来する。これはセキュリティの観点からも重要で、顧客のデータは専用サーバーから取得され、モデルの学習には使用されないため、機密情報が漏洩する懸念が軽減される。また、WriterのAIは、AIが事実でないことを言ってしまう「幻覚」の問題にも対処している。WriterのAIは顧客のドキュメントから直接データを取得するため、創造性には欠けるが、その分、事実誤認は格段に少ないという。

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編集=上田裕資

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