一方、世界を見渡すと楽観できません。ガザやウクライナでの戦争はもちろん、ミャンマーやスーダンなど、報道は少ない紛争でも多くの民間人が犠牲になっています。人びとの尊厳が守られる世界に近づいているとはいいがたい状況です。
日本は今でも世界第4位の経済大国です。日本政府はその影響力にふさわしい人権外交を行っているでしょうか。残念ながら答えはNOです。
私のミッションのひとつは、そんな日本外交を変えることです。日本外交を変えられるのは日本の人びとです。日本が人権のリーダーシップをとる国になること、日本がその外交の力を人権のために使うようになること。それは、今この瞬間も苦しんでいる世界各地の人権侵害の被害者に対する、日本に住む私たちの責任でもあると思っています。
最後に、皆さんの東大での4年間が充実したものになるよう、2つメッセージをお伝えします。
一つ目に、海外に飛び出す機会をできるだけつかんでほしいのです。世界は広いです。素晴らしいことも悲惨なこともあり、すべては現実です。大学時代の海外体験は、かけがえのない人生の糧になるでしょう。
アフリカやアジア、その他の地域にも、臆せずに行ってみてください。そして社会の「現場」に身をおいて体験してみて下さい。日本は世界の一部なのですから。
二つ目が、自分のパッションに正直になって、その道を追求してみてほしいのです。
あなたのパッションの追求に反対する人もいるでしょう。私にもそんな人がいました。でも、一回きりの人生です。自分の胸に手を当てて自分の声を聞いてください。
そして、そのために必要なら、起業にもチャレンジして下さい。社会的起業であろうと、経済的起業であろうと、信じるものがある人には、自然に人を「巻き込む力」が生まれます。
みなさんの中から、日本をそして世界をよりよくするアクションを広げていく人がたくさん生まれてくると信じています。
改めまして、おめでとうございます。どうもありがとうございました。
※なお、土井氏からForbes JAPAN Web読者諸氏に向け、以下のメッセージをいただいた。
土井香苗(どい・かなえ)◎ヒューマン・ライツ・ウォッチ東京事務所代表。東京大学3年生で司法試験に合格後、大学4年生でピースボートの地球一周に参加した際、アフリカで最も新しい独立国「エリトリア」を知り、同国の法律をつくるために刑法の国際調査を担当。ニューヨーク大学ロースクールで国際法の修士号、ニューヨーク州の弁護士資格を取得。2009年、ヒューマン・ライツ・ウォッチ東京事務所代表に就任した。メンター/尊敬する人は、マーティン・ルーサー・キングJr.。


