スタートアップ

2023.12.14 16:40

60カ国で「スマホ眼科診療」を展開|慶應大発OUI Inc

OUIの「Smart Eye Camera」(撮影=佐々木康)

OUIの「Smart Eye Camera」(撮影=佐々木康)

日本の医療機器産業は長く貿易赤字にあり、2023年は2兆円を超える輸入超過となった。こうした状況を脱し、世界で存在感を高めていくには何が必要か。Forbes JAPANでは2023年12月、「HEALTHCARE CREATION AWARD」と称し、未来の日本の医療を牽引するであろうスタートアップ企業の表彰を行った。

審査員には、医療界の4人を招いた。

・中尾浩治 医療機器メーカーテルモで、米国テルモメディカル会長兼CEO等や同社代表取締役会長を歴任。
・内田毅彦 FDA(米国食品医薬局)で医療機器医学審査官を務めた経験をもち、サナメディ(旧 日本医療機器開発機構)の創業者でありながら現在も循環器内科医として勤務。
・小野稔 平成天皇の心臓バイパス手術のチーム責任者を務めた東京大学心臓外科教授。
・上村みどり 帝人ファーマ生物医学総合研究所上席研究員を経て、CBI研究機構量子構造生命科学研究所所長を務める。

本アワードでは、医療機器や医療機関向けのサービス、消費者向けのヘルスデバイスを手がける成長企業をメインに企業リストを作成し、審査基準には「グローバルでの成長可能性/成長性」「医療的インパクト」「新規性」「日本での事業成長度」の4つを設けた。

そのなかで新規性でアワードを獲得したのが、慶應義塾大学医学部発のスタートアップ「OUI Inc(ウイインク)」だ。同社は、スマートフォンに装着することで眼の観察を行い、白内障などの眼科疾患を診断できる医療機器「Smart Eye Camera」を提供している。現役眼科専門医で同社代表の清水映輔が開発したもので、展開地域は東南アジアなどの新興国を中心とした60カ国。スマホで診察したデータはクラウド上に保存され、眼科医のいない医療過疎地域にも、遠隔から眼科医が診察を届けられる仕組みだ。

白内障は手術をすれば治る病気でもあるため、医師が少ない新興国の地域などに普及することは社会的意義も高い。ウイインクは、日本国内の医療機関にも機器を販売しており、国内で得た収益を新興国に投じていくという形で事業を構築している。

価格は一台19万8,000円(税込み)。決して安価ではないが、清水は「必要以上に機能をあげないようにしたことで、価格は既存の医療機器の20分の1ほどになっている」と話す。

今回のアワード受賞候補に挙がった企業には、同社以外にも複数社が新興国で事業を展開していた。審査員からは「新興国で事業を展開するならサブスクリプションとして提供し導入ハードルを下げるということも必要」という指摘があったが、ウイインクはすでに一部サブスク型での機器提供も行っている。

文=露原直人 撮影=佐々木康

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