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アジア

2025.03.17 11:30

株価は1年で20倍に、中国ジュエリー「老鋪黄金」の好調は続くか?

中国・上海にある老鋪黄金の店舗(Photo credit should read CFoto/Future Publishing via Getty Images)

中国・上海にある老鋪黄金の店舗(Photo credit should read CFoto/Future Publishing via Getty Images)

1980年代に中国の地方にある漁業局に勤務していた徐高明(シュウ・ガオミン)が、2016年に創業したジュエリーブランドの「老鋪黄金(ラオプーゴールド)」は、昨年の香港取引所における新規株式公開(IPO)から約1年で株価を約20倍に急騰させた。これにより、現在60歳の徐の保有資産は約90億ドル(約1兆3400億円)に達している。

しかし、アナリストは同社の株価が持続不可能な高値に達している可能性があると警告している。

北京に本社を置く老鋪黄金の時価総額は、1130億香港ドル(約2兆2000億円)に達しており、同じく香港取引所に上場する競合のジュエリー企業、周大福(チョウ・タイ・フック)の913億香港ドル(約1兆7460億円)を上回っている。

ただし、老鋪黄金の売上は、周大福と比べればごくわずかなもので、店舗数も周大福が約7000店舗を展開しているのに対し、老鋪黄金は33店舗のみを展開中だ。

投資家は、精巧な職人技と仏教にインスパイアされたデザインを持つ老鋪黄金を、高級ブランドに位置づけ、高い成長性を持つと評価している。中国の宮廷を模したデザインを持つ同社の店舗は、高級ショッピングモールの中でカルティエやルイ・ヴィトンなどの高級ブランドと並んでいる。

上海を拠点とする調査会社China Skinnyを創業したマーク・タナーは、「老鋪黄金は長年、国内の高級ブランドを求めていた富裕層の中国人を魅了している」と述べている。また、上海の郊外に住む26歳の学生の陸瑶(ルー・ヤオ)は、WeChatを通じたフォーブスの取材に、家族が最近、友人の結婚祝いに老鋪黄金の指輪を1万3000元(約27万円)で購入したと語った。

彼女によると、老鋪黄金の製品は、周大福の製品のように金の重量に応じて価格が決まるのではなく、独自のブランド価値を提示しているという。

例えば、老鋪黄金のネックレスの1つは2万6000元(約54万円)で売られているが、この価格は、使用されている23.6グラムの金の価値を約50%上回っている。「老鋪黄金は、自分が欲しいと思えるデザインを持つ数少ない金ジュエリーブランドの1つだ」と陸は述べている。

金価格の下落がリスク要因に

2月の証券取引所への提出書類によると、老鋪黄金は2024年の純利益が前年比で最大260%増の15億元(約308億円)に達したと見込んでいる。

上海の調査会社Mintel Chinaのローレル・グーは、老鋪黄金の店舗では顧客が限定商品を求めて列を作る状況が続いており、この勢いは今年も持続するとみている。しかし、この熱狂にもかかわらず、同社の株は、過大評価されている可能性が指摘されている。モルガン・スタンレーが3月6日に公開したリサーチノートによると、老鋪黄金の株は現在、2025年の予想利益の34倍で取引されており、国内ジュエリーブランドの平均値である11倍を大きく上回っている。

また、金の価格が下落すれば、老鋪黄金の魅力が損なわれる可能性がある。香港のエバーブライト・セキュリティーズのケニー・エンは、金を投資対象とする中国の富裕層が減る可能性を指摘した。

「老鋪黄金の株価にはプレミアムが上乗せされている。投資家はリスクを警戒すべきだ」と彼は指摘した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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