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ヘルスケア

2025.03.13 11:00

8歳女児がアンチエイジング化粧品を愛用して肌トラブルに 米国で社会問題化

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子どもの肌機能を壊すアンチエイジングコスメ

8歳のスキンフルエンサーたちが理解していないのは、自分がSNSを介して同年代の子どもたちに有害で誤った情報を広めているという事実だ。

アリゾナ州スコッツデールの皮膚科医師ブルック・ジェフィ博士は「子どもがアンチエイジングコスメを使うと、かえって皮膚の早期老化を引き起こしてしまうおそれがある。肌のバリア機能が破壊され、永久に跡が残りかねない」と警告する。

若い肌が若々しく見え、ハリと潤いに満ちてすべらかな理由のひとつは、肌のバリア機能が優れているからだ。だが、子どもが刺激性の強いアンチエイジング化粧品を使うと、皮膚が乾燥し、バリア機能が壊れ、赤みや炎症の原因になる。

肌のバリア機能が壊れると、外部の異物や微生物が皮膚の中に侵入し、免疫系が暴走する。暴走した免疫細胞は化学伝達物質を放出し、炎症を促進する。その過程で、瘢痕組織を形成する線維芽細胞が動員される。

さて、本当に恐いのは、ここからだ。幼児期から大人になるまでの肌の発達における重要なプロセスに、コラーゲンに関係したものがある。アンチエイジングの達人が説いているとおり、コラーゲンには肌のハリとツヤを保つ働きがある。乳幼児の肌はコラーゲンの小さな束が縦横無尽に走っている。皮膚が成人期に移行するにつれて、線維芽細胞がコラーゲンの束を架橋する役割を果たす。

皮膚が炎症を起こした際、皮膚組織が修復したり瘢痕(傷跡)が形成されたりする間、線維芽細胞は比較的無秩序に配列される。少女の顔の皮膚で活性化した線維芽細胞が未熟なコラーゲンの束を無秩序に架橋してしまうと、どうなるだろうか。そして、少女が刺激性の強いスキンケア製品を使い続けると、皮膚の炎症が長引き、不適切な線維芽細胞の活動が継続することがわかっている。

アンチエイジング動画が少女たちの心の傷に

子どものスキンフルエンサーはあちこちで見かける。スキンケア習慣を通じて絆を深めることが仲良しグループに入る際の踏み絵と化していると感じる子もいる。14歳のミア・ホールは、お小遣いを貯めては友人たちと化粧品専門店セフォラに通い、スキンケア商品を買っている。友人間で自分が浮かないための唯一の方法がスキンケアだという。

SNSのスキンケア動画についてミアは「ちょっとしたトランス状態かな。見るのをやめられない」と語る。「友達から『この商品は“買い”だよ』とか『私はこれを使ってるけど、すごくいいよ』とか言われると、特別扱いされた感じがする。友達の持っているコスメを手に入れれば、みんなとつながっていると安心できる」

だが、この口コミ商法には負の側面もある。ミアは自分と同世代の女の子たちがとてもきれいに見えたり、素敵な生活をしていると感じたりすると、嫉妬や不安に駆られてしまうという。

ラトガース大学の心理学者で『The Body Image Book For Girls(女の子のためのボディイメージ読本)』の著者であるシャーロット・マーキーの解説によれば、詳しすぎる美容チュートリアルは感受性が高く影響を受けやすい少女たちに、スキンケアは今すぐ始めるべき終わりなきプロジェクトだという認識を植え付けている。今のままではいけない、というメッセージを発信しているのだ。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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