さらに2021年には「最新のiOSとAndroid端末からアップルおよびグーグルのサーバーへ送られるテレメトリー(利用状況データ)を分析したところ、AndroidはiOSと比べて約20倍のデータを送信している」という結果を報告している。当時The Recordが伝えたところによれば、「ユーザーが明示的にオプトアウトしていても、iOSとAndroidの両方がテレメトリーを送信している」という。
今回の研究についてリース教授は「Google PlayサービスやGoogle Playストアは何億ものユーザーに利用されています。我々はこの調査結果をグーグルに伝え、コメントの時間を設けるため公表を遅らせました。彼らは簡単な回答を寄せ、法的側面にはコメントしないと述べました(我々もそこを尋ねたわけではありません)。彼らは誤りや不正確な記述があれば指摘してほしいという要請には応じず、ソフトウェアが保存するCookieなどを変える予定があるかという質問にも答えませんでした」と述べている。
現在はグーグルにとってトラッキングに関して微妙な時期であり、今回の報告書は私たちが日常的に使っている端末やプラットフォームの裏側で何が起こっているのかを再認識させる内容だ。筆者が何度も指摘してきたように、グーグルや他の主要プラットフォーム提供企業は情報開示を一層透明化する必要がある。プライバシー保護は一時進展を見せていたが、ここにきてバランスが逆方向に揺り戻されつつあるようだ。それは決してグーグルだけの話ではない。
リース教授は「この研究は、データ規制当局にとってAndroid端末のユーザーをきちんと保護するための警告となるはずです。Google PlayサービスとGoogle PlayストアはほぼすべてのAndroid端末にプリインストールされており、今回の調査によって、それらが人々のスマートフォンに広告やその他のトラッキング用Cookieやデータを密かに保存していることが示されました。グーグルはこれに関して利用者の同意を得ておらず、Cookieをブロックする手段もないのです」と警告している。