米半導体大手エヌビディアの株価は、3月3日の市場で8.7%急落し、9月中旬以降の最安値となる114ドルに落ち込んだ。人工知能(AI)分野のリーダー的存在である同社は、先月26日に予想を上回る決算を発表したにもかかわらず、トランプ大統領の関税のリスクを警戒したこの日の株式市場の広範な下落を主導した。
エヌビディア株の急落の引き金となったのは、中国のバイヤーが米政府の輸出規制を迂回して同社の最新のAI向けチップを発注していると、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が報じたことだった。さらに、トランプが3日午後に、メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課すと改めて表明したことで市場の全面的な売りが加速した。
この日の市場で、S&P500は1.8%下落しハイテク株が中心のナスダックは2.6%下落した。特に、午後のトランプの関税の発表を受けて売りが拡大し、S&P500は1月14日以来の最安値を記録し、ナスダックも昨年11月4日以来の安値に沈んだ。ダウ平均も1.5%下落し、1月16日以来の安値となった。
S&P500とナスダックは、それぞれ2月19日に記録した史上最高値から4.8%と8.5%下落している。
これを受け、S&P500は、昨年11月の大統領選以降の上昇分をほぼすべて失い、11月6日の終値をわずかに1.2%上回るのみで、トランプの2期目の政権が始まって以来、2.5%下落している。
エヌビディアの時価総額は、3日に2兆7900億ドル(約416兆円)に減少し、世界で2番目に時価総額が高い上場企業の地位をマイクロソフト(時価総額2兆8900億ドル、約430兆円)に奪われた。現時点で世界で最も時価総額が高い企業はアップル(同3兆5800億ドル、約533兆円)となっている。
フォーブスは、エヌビディアの共同創業者でCEOのジェンスン・フアンの保有資産が3日に約100億ドル(約1兆5000億円)減少して990億ドル(約14兆7000億円)に沈んだと試算している。現在、世界で16番目の富豪であるファンの資産は、彼が世界11位の富豪だった2月20日との比較で約240億ドル(約3兆5700億円)減少した。
エヌビディアの株価は、26日の決算発表以降に13%下落し、米株式市場の下落が始まった2月19日以降では18%下落している。2023年と2024年の強気相場を象徴する存在だったエヌビディア株は、直近の市場の調整局面でも代表的な存在となっており、ウォール街のリスク志向の弱まりの中で、特に売りの対象となっている。
エヌビディアが26日に発表した第4四半期の利益と売上高は、市場予想を上回り、今四半期の売上高見通しも市場予測を上回った。しかし、UBSのアナリストのティモシー・アルクーリらは、同社の粗利益率の低さを懸念材料の1つに挙げていた。
そして、投資家はその懸念に反応し、決算発表翌日の27日の市場でエヌビディアの株価は8.5%下落した。同社は、生成AI革命を支える半導体テクノロジー分野で確固たる地位を築いているが、中国企業DeepSeekが発表した高効率のAIモデルによって、高価なエヌビディア製品の需要が鈍化するとの懸念が1月から広がっている。



