第二に、難問を率直に共有しよう。会社の抱える難問について充分な情報を与えられていると感じる社員では、自分の会社を「良い職場」として人に勧める率が10倍になることが調査でわかっている。にもかかわらず、「社員が懸念を示したときに、リーダーは建設的に対応する」と答えた社員は4分の1しかいない。つまり、大きなチャンスを逃しているということだ。厳しい話題を避けるのではなく、社員を対話に招き入れよう。
言うべきこと:「顧客維持率の低下が見られる。これは深刻な問題だ。改善する方法について、意見を出しあおう」
言ってはいけないこと:「ネガティブなことばかり見ないようにしよう。顧客はうちを気に入ってくれている!」
第三に、問題に建設的に対処しよう。社員が問題を提起したときに、ポジティブさを執拗に装いつつ問題を退けるのは最悪の対応だ。「リーダーが問題にうまく対処している」と考える社員は26%にとどまっている。つまり、社員の74%は、問題が無視されたり、軽視されたり、無意味な会社用語をこねくりまわすだけに終わったりしている、と感じているわけだ。
社員が問題提起を恐れる場合、社員は問題を報告するのをやめてしまう。そうなったときに、問題は全面的な危機に陥る。
言うべきこと:「この問題を提起してくれて感謝する。何が問題を生んでいると思う? どうすればみんなで取り組めるだろう?」
言ってはいけないこと:「ネガティブになりすぎだよ。問題ではなく、解決策に焦点を当てよう」
レジリエンスへ至る現実的な道
有害なポジティブさは、意欲のある、強い社員を生み出さない。自分の意見に耳を貸してもらえない、退けられている、と感じる空気をつくり出し、最終的には意欲の低下につながる。真のリーダーシップに求められるのは、現実を認め、困難な真実と向きあい、解決策の一端を担う力を社員に与えることだ。
そして、データの示すところは明らかだ。社員は正直さを求めている。社員は、現実の状況を知ることを望んでいる。社員が求めているのは、行動を起こすリーダーであり、空疎な励ましを口にするだけのリーダーではないのだ。

