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2025.03.17 16:00

“やってみなはれ精神”が挑戦を加速させる MUICの新たなオープンイノベーションの形

2025年2月17日、東京・虎ノ門のイノベーションコミュニティCIC Tokyoで、三菱UFJ銀行(以下、MUFG)が設立したイノベーション創出拠点MUsubu Innovation Center(以下、MUIC)のイベントを開催。

Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香がモデレーターを務め、MUIC理事長で三菱UFJ銀行副頭取の早乙女実、MUIC専務理事の廣瀬満知、CIC Instituteディレクターの名倉勝をゲストに、MUICが目指す新しいオープンイノベーションの形を深掘りした。


MUICは、協賛する大企業とスタートアップを掛け合わせ、社会・産業課題の解決につながる新事業のアイデアをビジネス化する取り組みだ。設立の背景について、早乙女は「将来世代への責任を果たすため」と説明する。

「日本経済が持続的に発展するには、革新的な技術やビジネスアイデアなどでイノベーティブな製品・サービスを生み出し、生産性を高めることが重要です。その流れを支えるのが、金融機関である我々の社会的責務と考えています。観光立国への機運が高まるなか、大阪・関西万博を一つの契機として、関西発の観光関連産業のイノベーションを促せないかと考え、始動しました」

MUIC理事長 早乙女実
MUIC理事長 早乙女実

その結果、2025年2月時点で約40社を超える関西を代表する大企業や団体に加え、50前後のスタートアップが参画。これまでに約300件のアイデアが議論され、そのうちの約3割である85件が実証実験まで進んだという。さらに、そこから4年間で22件が社会実装化に至り、着実に実績を積み上げている。

モデレーターの谷本から、関西エリアを中心にイノベーション創出に取り組む意義を問われた早乙女は「ロケーションにこだわるのではなく、それぞれの都市の強みを生かしながら技術やアイデアを育てることが重要」と強調した。

大阪には“やってみなはれ精神”が根付き、それを支える文化もある。「MUICの活動を通じて、その文化が醸成されてきたはずだ」と早乙女は自負する。そして、「大阪は産学連携政策を進めやすく、実証実験のハードルも低いので、技術やアイデアを試せる環境が整っている。そのなかで、引き続きビジネス化までを伴走支援し、今後は福岡や西日本での展開を進めたい」と未来を見据えた。

MUICの課題解決プログラムを専任で支えるのは、MUFGから出向する事務局メンバーだ。イノベーションの創出を目的に「本当に価値あるもの」を生み出そうと、事業化までハンズオンで関与するという。メンバーの印象を、廣瀬は「お客様の課題を自分ごととして捉え、企業のみなさんと試行錯誤しながら、前向きに挑戦し続ける頼もしい存在」と語る。

MUIC 専務理事 廣瀬満知
MUIC専務理事 廣瀬満知

MUICの取り組みについて、イノベーション創出の現場に携わる名倉は「4年間で22件の社会実装化に実現しただけでなく、フルタイムの専任メンバーが伴走支援に入るのはなかなかできないこと」と驚きを示す。加えて、MUICのカルチャーについても注目した。

「オープンイノベーションや新規事業に注力する企業は多いものの、保守的なカルチャーが原因で動きが鈍り、成功できないケースが少なくありません。その一方、MUICは革新的なカルチャーを築き上げたからこそ、着実に実績を重ねてきたのでしょう」

CIC Instituteディレクター 名倉勝
CIC Instituteディレクター 名倉勝

トータルサポートと的確な課題設定で事業化に成功

早乙女によると、事業化に成功しているのはMUICによる総合的な支援も大きいという。

「まずチームアップする際、会員企業・団体からだけでなく、金融機関ならではの豊富なネットワークを最大限活用し、最適なチームを組んでいきます。そのうえで、プログラムの起案から実証実験、ビジネス化までをMUFGの出向者がハンズオンで伴走支援し、かつ、実証実験に向けた費用拠出なども我々がサポートしております」

MUIC課題解決プログラムの流れ。持ち込まれた社会課題に対して、最適なチームアップを実施。ビジネスモデルの議論や実証実験を経て、事業化を目指す
MUIC課題解決プログラムの流れ。持ち込まれた社会課題に対して、最適なチームアップを実施。ビジネスモデルの議論や実証実験を経て、事業化を目指す

加えて、谷本は「ややもすると、大きすぎるテーマを掲げたり、細かすぎる問題に寄ったりしがちだが、MUICは課題設定も秀逸」だと指摘。テーマを「観光」「インバウンド」に限定した背景について、廣瀬は「以前から問題視されていた社会問題である“オーバーツーリズム”に注目した」と言い、その対策として2つのプログラムが始動していることを発表した。

そのひとつが、京都で実施したデジタルアートだ。廣瀬は「旅行者に夜の観光も楽しんでもらうため、寺社仏閣などで光のアートを使ったコンテンツを提供し、分散観光を促進する取り組み」だと説明する。昨年度は60万人以上に利用され、オーバーツーリズム対策に貢献。また、昼間よりも高価格の拝観料を設定し、ビジネスとしての成立も図った。

もうひとつは、京都での実用化を目指す「シティチェックイン」である。廣瀬は「インバウンド客増加に伴うキャリーケースの持ち込み問題に対応するため、チェックアウト後の手荷物を空港へ送るサービスを開始。手ぶらで観光でき、住民も公共交通機関などを利用しやすくなる。さらに、帰国後の空港で手荷物を受け取れるようにし、観光客と地元住民の利便性を向上させた」とその魅力を語る。

あらゆる人のメリットにつながる課題を設定し、事業化を果たしているMUICについて、名倉は「スタートアップの成功要件を3つ満たしている」と分析した。

「まず重要なのは、カスタマーペインが明確な課題を設定することで、MUICのさまざまなプロジェクトで実現しています。次に必要なのが、適切なソリューションの提供。課題に対する解決策がなければ成功しませんが、MUICではしっかり対応できている印象があります。最後がソリューションの実行力で、伴走支援による推進力が強いと感じました」

また、名倉は「スタートアップは融資やベンチャーキャピタルから資金調達を受ける際、市場規模が重視される。MUICが関西で事業化したプログラムが、ほかの地域にも広がれば市場が大きくなるが、その可能性があるのか」と問いかけた。

これに対し、廣瀬は「最適な地域で試したあと、ほかの地域での展開も考えている」と回答。例えば、デジタルアートは奈良県全域へ、シティチェックインは鎌倉へと、同様の課題を抱える地域への横展開を視野に入れているという。

MUICを起点に日本のオープンイノベーションを変革する

今後について、早乙女は「大阪・関西万博後を見据え、MUIC2.0を始動する」と意欲を見せる。

海外での展開も視野に入れながら業種・地域を拡大し、プロジェクト数も増やしたうえで伴走支援を続け、さらなる実用化を目指すという。その先に見えているのは、将来世代への貢献だ。

「万博向けに考えられた新技術やアイデアを社会実装して、将来世代にスピーディーなイノベーションエコシステムを残していきたいと心から考えています。そのため、今後はテーマを観光に限定せず、『環境』『健康』『食』『エンタメ』といった領域にも広げていき、多くの仲間を集めながら社会実装に取り組む予定です」

MUIC2.0で注力する分野について、名倉は「ニーズがあるだけでなく、日本が強みをもつ領域を選定している」と分析。加えて、「海外展開やビジネス化が弱い分野でもあるため、世界につながるイノベーションを創出してほしい」と期待を寄せる。

また、名倉は「MUICはオープンイノベーションの未来を左右する重要な存在だと考えている」という。

「日本の大企業は競争力も技術力も高い一方、スタートアップとの連携はまだ弱いのが現状です。海外ではスピーディーに進むオープンイノベーションも、日本では停滞しがちで、なかなか前に進みません。国内の事例がグローバルに通用するレベルにあるのか、海外企業と比べてオープンイノベーションのスピード感は十分なのか。今こそ、それを問い直し、挽回する岐路に立たされています。その際、MUICと参画企業の役割が大きいのです」

なぜ、役割が大きいのだろうか。名倉によると、MUICの豊富な実績を未来につなげたり、イノベーションエコシステムの構築に成功したりすれば、「MUICを起点に、日本のオープンイノベーションが変わった」ということを世界に示せるからだ。一方、それを実現できないと、「日本ではオープンイノベーションが難しい」という印象になりかねない。

だからこそ、名倉が「ラストチャンスだという勢いで、オープンイノベーションの契機をつくってほしい」と熱望すると、早乙女は「スピード感を持って取り組み、日本のオープンイノベーションを変えていきたい」と意気込んだ。

最後は、2025年5月開催予定のMUIC×CIC Tokyoコラボ企画「スペシャルピッチ」を発表。大企業数社がリバースピッチを行い、採択されたスタートアップには、実証実験費用として最大1億円をMUICが拠出する。この資金は将来の売上の一部を現金化するもので、廣瀬は「補助金に近い仕組みで、デットでもエクイティでもない」と説明。早乙女によると、決定までのスピード感は最速レベルだという。

前例のない規模とスピードでスタートアップを支援し、日本のオープンイノベーションを変えるかもしれない実証実験が今、始まろうとしている。

Promoted by 一般社団法人関西イノベーションセンター / Text by Kaori Sasuga / Photograph by Nanako Ono / Edited by Daisuke Sugiyama(ノオト)