トレツク方面に展開しているウクライナ軍の第92独立強襲旅団や第100独立機械化旅団などと同様に、ロシア西部クルスク州でも2月、ウクライナ軍の侵攻部隊が650平方kmほどの占領地域の南東周縁で反撃に成功している。
ウクライナに侵攻しているロシア野戦軍にとって、トレツクでウクライナ側に押し返されているのがとりわけ不吉なのは、その南西40kmほどに位置する要塞都市、ポクロウシク市の郊外で撃退され続けたあと、ロシア側が軸足を移している方面のひとつがまさにこの方面だからだ。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は「戦域のロシア軍司令部は主な注意をポクロウシクでなく、(ポクロウシクの南西の)ノボパウリウカ方面と、トレツク方面に向けている」と分析している。
とはいえ、少なくともこれまで、トレツク方面へのロシア軍の増援部隊は役に立っていないようだ。ポクロウシク方面から移された兵力で増強されても、トレツク方面のロシア軍部隊は後退を強いられている。
これは、ウクライナは弱い立場にあるとしたトランプの主張をあざ笑うような動きである。トランプはゼレンスキーに「あなたは感謝しないといけない」と激昂した。「あなたはカードを持っていない。行き詰まっている。あなたの国民は死んでいる。兵士は足りていない。いいか、兵士が足りていないのだ」とも言った。
ウクライナが最も優秀な旅団の定員を充足させるのに、十分な数の歩兵を集めるのに苦労しているのは事実だ。だが、ウクライナ軍が「行き詰まっている」というのは事実でない。ウクライナはこの数週間、少なくとも、後退した方面と同じ数だけの方面で前進している。