プレッシャーの大きいこうした状況下で成果を上げるリーダーもいれば、士気や集中力、勢いを維持することに苦労するリーダーもいる。見落とされがちなのは、リーダーシップの基本的なスタイルが、混乱に対処するときのアプローチを形づくるということだ。
後述するが、リーダーシップの基本的なスタイルには、実用主義者、理想主義者、管理人、外交官という4つのタイプがある。自分がそれらのどれに当てはまるかを理解すると、危機が起きたときに自分はどのように対応するかについて、より正確に予測できる。そして、自分の危機管理戦略をどのように改善すればいいかも理解できるだろう。
危機の要因:「リーダーシップのスタイル」が重要な理由
平穏なときは、どのような状況であっても「リーダーシップはどれも同じ」と考えたくなるものだ。しかし、危機的状況はリーダーシップのスタイルをあらわにする。四半期評価や「タスクの割り振り」といった、平穏時の仕事とは違い、「危機」が訪れたときのリーダーは、迅速に意思決定し、優先順位を明確化し、不安や混乱を抱えているチームメンバーのモチベーションを高めなければならない。筆者が創業したLeadershipIQ(リーダーシップIQ)の、100万人以上が受けた『あなたのリーダーシップスタイルは?(What’s Your Leadership Style?)』テストによれば、リーダーシップのスタイルは、主に4つのタイプに分かれる。
・実用主義者は、迅速な意思決定や突然の戦略変更を自然に実行できるが、一方で、チームの士気を損なうリスクがある。
・理想主義者は、どのような危機も再発明や成長の機会と捉えることができるが、現実の危険が迫っている場合、楽観的すぎるように見えるかもしれない。
・管理人は、一貫したプロセスで業務を安定させることに秀でているが、変化する環境への対応が後手に回る恐れがある。
・外交官は、精神的なサポートやチームの一体感を自然にもたらすことができるが、調和を保つという名目で、厳しい決断を先延ばしにする可能性がある。
これらの本質的な傾向を理解し、どのアプローチが自分のスタイルに最も適しているかを知っておけば、危機における自分の強みと弱みを評価できる。