レイオフや、オフィス勤務への復帰を義務付ける厳しいポリシー、さらには業務量の急増を受けて、従業員はもはや黙ってはいない。働き手は突然仕事を辞め、声を上げている。大企業は、働き方の柔軟性やワークライフバランスを考慮していない、として反旗を翻しているのだ。
2025年は、「リベンジ退職」が職場における一大トレンドになっている。ある研究では、本年中に退職を計画している、と回答した従業員の割合は28%に達した。さらにグーグル検索では、「リベンジ退職」が検索される頻度が、ここ数週間で234%増加している。
「リベンジ退職」とは何か?
「リベンジ退職」とは、職場でのネガティブな体験への対抗策として、働き手のあいだで広がっているトレンドだ。具体的には、仕事ぶりを認めてもらえない、燃え尽き、あるいは職場文化になじめない、といった体験が引き金になっている。専門家によればこれは、長年にわたって進んでいた職場の進化や、急速なテクノロジーの進歩がもたらした、避けられない帰結だという。さらに、新世代の働き手たちが仕事に求めるものが変化していることが、このシフトを加速している。MasterClass at Work(マスタークラス・アット・ワーク)で学習デザインおよび戦略部門のトップを務めるジョン・スコットは、筆者に対するメールで、「怒りの退職」や「怒りの応募」という現象が起きていると指摘した。前者は、従業員が事前の警告なしに、派手な抗議行動の末に退職する現象だ。後者は、蓄積したいら立ちや、特定の出来事をきっかけに、従業員が新たなチャンスをつかもうとして、矢継ぎ早に複数の求人案件に応募する現象を指す。
スコットは2024年の時点で、2025年には就職市場が強含みに動くと予測し、さらにリベンジ退職が増加すると読んでいた。この現象について同氏は、「不満がたまっている従業員に、新たに別の仕事に転職する機会が与えられると、それに飛びつく状況」と定義している。実際、同氏の予測の通りに、2025年に入ってリベンジ退職が増加しており、従業員が大企業と「対等な立場で話をする」ようになっている。
スコットは、従業員がリベンジ退職に踏み切る兆候として、現在の職場における4つの特質を指摘している。
1. 昇進や、専門的な働き手としての成長に関する透明性の欠如
2. より深いパーパス(人生の目標)とつながりを感じられない状況
3. 意思疎通や意思決定の欠如による、職場におけるもめごとの悪化
4. 本来の職能から外れた業務にやりがいを感じられず、離脱を望む