瀬戸内エリア内外の起業家やアトツギをゲストに招き、瀬戸内・中四国特化型ベンチャーキャピタル「Setouchi Startups」の共同代表、藤田圭一郎と山田邦明がVC目線でゲストのビジネスストーリーを深掘りします。
今回は、教育を共育で変えるをミッションに掲げ、主力事業として全国の小学校・中学校・高校向けにソーシャルアントレプレナーシップ体験プログラムを提供しているMoonJapan代表取締役CEOの藤田岳さんをゲストにお迎えした回をご紹介。
150年間変わって来なかったとされる日本の公教育が、探究教育がカリキュラムに入ったことで変わりつつある今。そんな変化の中で、プログラムのベータ版を提供する中で感じた受講した高校生の変化や、次なる挑戦への展望についてお届けします。
変化しつつある教育 教育現場の課題解決と機会提供を同時に
藤田岳:MoonJapanの藤田岳です。よろしくお願いします。MoonJapanは、教育を共育で変えるをミッションにしている教育インパクトスタートアップです。事業としては、2022年度から義務化された探究教育の時間向けのプログラム、教員向けDXツールを提供しています。
日本の教育は150年間変わってこなかったと言われていて、エドテックの文脈でパソコンやタブレットの導入はあったものの、本質的な教育は変わっていませんでした。ただ、探究教育のおかげで、欧米でいうエレクティブ教育が一般化されつつあり、今が変わり目になっている現状があります。
ただ、150年間教育が変わっていなかったことに加えて、そもそも教員の残業時間の長さ、先生自身が探究教育で何を教えればいいのかわからないという課題があります。ただでさえ、教員の皆さんはすごく残業が多いブラックな業界です。そこで、僕たちが教育現場の労働環境問題と日本の未来を担う学生の育成問題を両方解決させていただいています。
具体的には、小学生から高校生の探究の時間向けにソーシャルアントレプレナーシップの体験プログラム「MoonShot」を提供しています。授業を作るところから、レポートを作成するまで0から10までをやるようなDXツールになっています。
藤田:もうリリースしているんですか?
藤田岳:正式リリースはまだで、今はベータ版を持って全国の教員の皆さんにヒアリングをしています。
今実際に行っているプログラムでは、MBTI診断などを使いながら自分の心の中や興味関心を深掘りしてもらい、それをベースにチーム分けをします。そこで社会課題の設定や探究をして、解決方法を自分たちなりに考えてもらうんです。答えを出すだけではなく、それを人に伝えるところまでやる、起業でいう0から1を作るフェーズを経験してもらっています。
思いがけない副産物 いつか地元に帰りたいという思い
藤田岳:岡山の真庭で提供している授業が、次で11回目の授業になります。パソコンを久しぶりに触った、Googleスライドを初めて使った、と話すような子たちがピッチをする段階まで来ているんですよね。藤田:提供することによる変化は感じていますか?
藤田岳:グループで取り組んでもらうことによって、学科を超えた交流が生まれていることを学校の先生から聞いています。今までだとすれ違っても挨拶をしなかった生徒同士に、挨拶が生まれているような。