ジョンソン:米テック業界は引き続きパワフルであり続ける。結果がどうなろうが、望むものは何でも発明するだろう。国によっては、大量の雇用喪失も予想される。米国では、国内総生産(GDP)は堅調かもしれないが、格差は拡大する。他国でも、十分な教育を受けていない人々には多くの問題が生じることを覚悟すべきだ。
AI兵器の開発に多額の資金が投じられ、イノベーションが起こるだろう。テック業界はAI兵器に熱を上げている。AI兵器の開発は実に憂慮すべきものだ。いったい誰が兵器を管理し、誰が暴走を防ぐのか?
事実、化学や物理学の分野で開発されたテクノロジーの多くは実際に使用された。2024年のノーベル平和賞は日本被団協に贈られたが、新しいテクノロジーを発明するだけでは人類のためにならないことを原爆が教えてくれる。
──より良い未来をつくるカギは?
ジョンソン:「発明のための発明」には、意図しない結果が多々伴う。米国や日本には、製品の発明などを通し、世界の人々が抱える問題の解決を後押しするだけの力がある。だが、まず、こう自問すべきだ。何を発明するのか、なぜ発明するのか、と。
大学には多くの才能が集約している分、大きな責任がある。資金も潤沢だ。大学は、世界の人々に役立つようなテクノロジー開発の最前線に立つべきだ。
サイモン・ジョンソン◎米マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院教授。国際通貨基金(IMF)チーフ・エコノミストなどを経て現職。共著書に『技術革新と不平等の1000年史』など。2024年度のノーベル経済学賞受賞者の1人。共著書に『技術革新と不平等の1000年史』(早川書房)など。


